物質の指紋を読み解く:質量分析計
- 質量分析計物質の構成要素を見分ける質量分析計は、物質を構成する極微の粒子を分析し、その物質が何からできているのかを原子レベルで明らかにすることができる、言わば物質の指紋を読み取る装置です。私たちの身の回りに存在するあらゆる物質は、原子が様々な組み合わせで結びついてできています。そして、物質の種類によって、それを構成する原子の種類やその組み合わせ、さらにその比率は異なります。このため、物質を構成する原子や分子の重さの違いを細かく調べることで、その物質が何からできているのかを特定することができるのです。質量分析計はこのような考え方に基づいて作られています。まず、分析したい物質を気体状態にします。次に、気体となった原子や分子に電気を帯びさせます。電気を帯びた粒子は、磁場の中を通ると、その重さによって進む道筋が変わります。この道筋の違いを検出することで、物質中にどんな種類の原子がどれくらいの割合で含まれているかを調べることができるのです。質量分析計は、化学、生物学、医学、環境科学など、様々な分野で利用されています。例えば、新薬の開発や病気の診断、食品の安全性評価、環境汚染物質の分析など、幅広い分野で物質の分析に役立っています。