研究開発

その他

米国における政府活動評価:業績結果法(GPRA)の概要

- はじめにGPRAとは国民への説明責任を果たし、政府の資金をより有効に活用することを目的として、1993年にアメリカで「業績結果法」(GPRA Government Performance and Results Act)という法律が制定されました。この法律は、連邦政府機関が行う政策やプログラムについて、その効果と効率性を評価することを定めたものです。GPRA以前は、政府機関の活動は、その活動量を基準に評価されていました。例えば、「道路を何キロメートル建設したか」「何件の申請を処理したか」といったように、実際に行った作業量を測ることが評価の主な指標だったのです。しかしGPRAは、従来の活動量ベースの評価から、成果に基づく評価への転換を促しました。つまり、政府の活動が実際にどのような成果を上げたのかを、測定可能な形で示すことを求めるようになったのです。これは、単に作業をこなすだけでなく、その作業によって社会がどのように変化したのか、国民にどのような利益をもたらしたのかを明確にするという、政府の姿勢の変化を示すものです。GPRAは、政府活動の透明性を高め、国民からの信頼を得るためにも重要な役割を果たしています。
その他

研究成果を社会へ!TLO法

- 技術移転の促進 1998年5月、それまで大学などの研究機関内で閉じがちだった優れた研究成果を、社会全体で広く活用し、経済や産業の発展に役立てていこうという目的で、画期的な法律が施行されました。それが「大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律」、通称TLO法です。 この法律は、大学や研究所などの研究機関が新しく生み出した技術や知識を、企業が受け取って実用化していく、いわゆる「技術移転」を促進するための法律です。具体的には、大学などの中にTLOと呼ばれる専門の機関を設立することを推進しています。TLOは「Technology Licensing Organization」の略で、日本語では「技術移転機関」と訳されます。 このTLOが、大学などの研究機関と民間企業との間に入って、橋渡し役を担います。例えば、企業にとって有益そうな研究成果を大学側から紹介したり、逆に企業から技術的な課題をヒアリングして、解決できそうな研究を行っている研究者を紹介するなど、様々な活動を行います。 TLO法の施行により、これまで以上に産学連携が促進され、日本の科学技術の発展と、それを活用した新産業の創出、ひいては経済の活性化が期待されています。
その他

原子力開発と知的財産権

人間の創造的な活動によって生み出される技術やデザイン、ブランドなどを権利として保護するのが知的財産権です。この権利は、創造的な活動を促進し、その成果が正当に評価されることで、社会全体で新たな技術や文化が生まれる土壌を育むために重要な役割を担っています。 近年、世界中で技術革新が加速し、経済活動においても新しい技術やアイデアが重要な役割を果たすようになっています。このような状況下では、知的財産権を適切に保護し、活用することが、経済の活性化、ひいては国家全体の競争力を高める上で、これまで以上に重要となっています。 我が国においても、2002年に知的財産戦略会議が設置され、知的財産の創造、保護、活用を総合的に推進するための「知的財産戦略大綱」や、知的財産に関する法律の整備を図る「知的財産基本法」が制定されました。これは、知的財産が我が国の経済活性化、ひいては国力強化に不可欠であるという認識に基づくものであり、国家戦略として知的財産権の保護と活用に取り組む姿勢を示すものです。
その他

ドイツの原子力研究を支えるBMFT

- BMFTとはBMFTは、"Bundesministerium für Forschung und Technologie"の略称で、日本語では「連邦研究技術省」といいます。これは、かつてドイツに存在した、科学技術分野の行政機関です。1972年に設立され、1998年に「連邦教育研究技術省」に改組されるまで、およそ四半世紀にわたり、ドイツの科学技術政策を牽引してきました。 その活動範囲は非常に広く、日本の文部科学省と経済産業省の両方を合わせたような組織といえます。基礎研究に対する助成から、産業界と連携した応用研究の推進、さらには将来を見据えた技術開発の支援など、様々なレベルでの取り組みを行っていました。 BMFTは、大学や研究機関、企業など、様々な主体に対して資金提供や政策支援を行うことで、ドイツの科学技術力の発展に大きく貢献しました。その実績は、自動車、機械、化学など、ドイツを代表する産業の国際競争力にも表れています。BMFTは、もはや存在しませんが、その精神は、現在の連邦教育研究技術省にも引き継がれており、ドイツは引き続き、科学技術立国として世界をリードしています。
その他

原子力エネルギー研究諮問委員会:アメリカの原子力研究を支える頭脳集団

- アメリカの原子力研究を導く専門家集団 アメリカでは、「原子力エネルギー研究諮問委員会」と呼ばれる専門家集団が、原子力研究の舵取り役を担っています。英語では「Nuclear Energy Research Advisory Committee」、略してNERACと呼ばれるこの組織は、1998年の設立以来、アメリカの原子力研究において重要な役割を果たしてきました。 NERACは、アメリカ合衆国エネルギー省(DOE)の長官や原子力科学技術オフィスに対して、専門的な助言を行うことを主な任務としています。彼らが特に重視するのは、軍事目的ではなく、発電や医療など、平和的な目的のための原子力技術です。NERACは、大学や研究機関、産業界など、様々な分野から集まったトップレベルの専門家で構成されています。彼らは、豊富な知識と経験に基づいて、アメリカの原子力研究の進むべき方向性を示す、重要な提言を行っています。 具体的には、NERACは、DOEが推進する原子力技術プログラムを評価し、その成果や課題を分析します。そして、将来の研究開発の方向性や、必要な投資、規制のあり方などについて、具体的な提言をまとめた報告書をDOEに提出します。これらの提言は、アメリカの原子力政策に大きな影響を与え、国のエネルギー戦略を左右する可能性も秘めていると言えるでしょう。 このように、NERACは、アメリカの原子力研究において、欠かすことのできない存在となっています。彼らの専門知識と洞察力は、原子力の平和利用を推進し、より安全で持続可能な社会を実現するために、これからも重要な役割を果たしていくことでしょう。