夢の光「X線自由電子レーザー」
- X線自由電子レーザーとは
X線自由電子レーザー(XFEL)は、従来のレーザーや放射光の長所を併せ持ち、「夢の光」と称される画期的な技術です。このレーザーは、光の速度近くまで加速された電子ビームを利用して、高輝度かつ短波長のレーザー光を作り出します。
XFELの心臓部となるのが、アンジュレータと呼ばれる装置です。アンジュレータは、磁石の列が周期的に並んだ構造をしています。電子ビームがこの磁石列の中を通過すると、蛇行運動をしながら進みます。このとき、電子は進行方向に光を放射します。この光が、アンジュレータ内で進むにつれて増幅され、強力なレーザー光となるのです。
XFELは、従来のレーザーと比べて、桁違いに輝度が高く、パルス幅が短いという特徴があります。このため、これまで観察が難しかった物質の超高速な動きや、原子レベルの微細な構造を捉えることが可能になります。
XFELは、物理学、化学、生物学、材料科学など、幅広い分野での応用が期待されています。例えば、タンパク質の構造解析による新薬開発や、光触媒の反応機構解明による環境問題解決など、さまざまな分野への貢献が期待されています。