
放射線と精巣:影響と防護
男性にとって、子孫を残すために重要な役割を担うのが精巣です。精巣は「睾丸」とも呼ばれ、その名の通り丸みを帯びた形をしています。左右に一つずつ、陰嚢と呼ばれる袋の中に収まっています。この精巣の中には無数の細い管が張り巡らされており、これを「細精管」と言います。精子は、この細精管の中で作られ、成熟していきます。精巣で作られた精子は、精巣上体へと送られ、体外へ射出されるまでそこで蓄えられます。
健康な成人男性の場合、精巣の重さは約35グラムです。これは、放射線の人体への影響を評価し、防護基準を定める国際機関である国際放射線防護委員会(ICRP)の刊行物にも記載されている数値です。精巣は放射線に対して脆弱な臓器であることが知られており、被ばく線量によっては精子を作る能力が低下する可能性があります。そのため、医療現場や原子力施設など、放射線を使用する場所では、精巣を含む身体への被ばく線量を最小限に抑えるための対策が講じられています。