
緊急時モニタリングセンターの役割とは?
原子力災害は、ひとたび発生してしまうと、広範囲にわたって人々の健康や環境に深刻な影響を与える可能性があります。その影響は、国境を越えてしまうことさえあります。このような未曾有の事態に備え、国、地方公共団体、そして原子力事業者が三位一体となって迅速かつ的確に対応できる体制を常日頃から構築しておくことが極めて重要です。
原子力災害が発生した場合、まず初めに正確な情報を迅速に把握することが求められます。そのために重要な役割を担うのが、緊急時モニタリングセンターです。このセンターは、原子力災害に備え、関係機関が互いに連携し、環境放射線量や放射性物質の濃度などを監視・測定する体制を指します。センターでは、収集したデータに基づき、被害状況の把握や住民の避難、放射能の影響範囲の推定などを行います。
緊急時モニタリングセンターの整備は、2013年の原子力災害対策指針の改正によって明確に位置づけられました。これは、福島第一原子力発電所の事故を教訓に、より実効性の高い原子力災害対策体制を構築するという国の強い意志の表れといえます。