線量計算

放射線について

航空機利用時の宇宙放射線被ばく線量を計算するCARIコード

- はじめ 現代社会において、飛行機は人や物を運ぶ上で欠かせない乗り物となっています。空高く飛ぶ飛行機は、地上よりも宇宙からの放射線を多く浴びます。この放射線は、人体に影響を及ぼす可能性があるため、その量を適切に管理することが重要です。 宇宙放射線は、太陽や銀河系外の宇宙からやってくるエネルギーの高い粒子線です。地上では、大気や地球の磁場が私たちを守ってくれていますが、高度が高いところを飛ぶ飛行機の中では、地上よりも多くの宇宙放射線を浴びることになります。 人体が過剰に宇宙放射線を浴びると、健康への影響が懸念されます。そのため、航空機に携わる乗務員や頻繁に飛行機を利用する人々にとって、宇宙放射線の影響を評価し、対策を講じることが重要です。 そこで開発されたのが、CARIコードと呼ばれる計算方法です。CARIコードを使うことで、航空機利用時の宇宙放射線による被ばく線量を推定することができます。 この文章では、航空機利用と宇宙放射線被ばくの関係について、CARIコードを用いた被ばく線量の計算方法を中心に詳しく解説していきます。
放射線について

体内被曝における線源組織:放射性物質の体内分布

- 線源組織とは私たちの体は、口から摂取したり、呼吸で吸い込んだりした様々な物質を、種類によって異なる場所に蓄積する性質があります。例えば、カルシウムは骨に、鉄分は血液に多く含まれていることはよく知られています。実は、放射性物質も同様に、その種類によって体内での動きが異なり、特定の臓器や組織に集まりやすいという特徴があります。この時、放射性物質が特に多く集まり、長い時間留まる臓器や組織のことを「線源組織」と呼びます。 別名「線源臓器」とも呼ばれます。放射性物質は、その原子核が壊変する際に放射線を放出します。そして、線源組織に集まった放射性物質は、そこから周囲の組織や細胞に放射線を照射し続けることになります。そのため、放射線被ばくによる健康への影響を考える上で、どの種類の放射性物質が、体のどこに、どれくらいの量、どれくらいの期間留まるのかを把握することが非常に重要になります。 線源組織と被ばく線量の関係を分析することで、より効果的な放射線防護対策を立てることができるのです。例えば、ヨウ素131という放射性物質は、甲状腺に集まりやすい性質があります。そのため、ヨウ素131を体内に取り込んでしまった場合には、甲状腺がんのリスクが高まる可能性があります。そこで、事故や災害などでヨウ素131が放出された場合には、安定ヨウ素剤を服用することで、甲状腺へのヨウ素131の取り込みを抑制し、被ばくによる健康影響を低減する対策が取られます。