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SOLAS条約:海上の安全を守る国際ルール

1912年4月、大西洋を横断中の豪華客船タイタニック号が氷山と衝突し、沈没するという痛ましい事故が発生しました。当時最新鋭の設備を誇り「決して沈まない船」と謳われていたタイタニック号の沈没は世界中に大きな衝撃を与え、1,500人以上の尊い命が失われました。この事故は、当時の船舶の安全基準が十分ではなかったことを浮き彫りにしました。例えば、タイタニック号には乗客全員分の救命ボートが搭載されていなかったのです。 この未曾有の海難事故をきっかけに、船の安全を強化し、再び同様の悲劇を繰り返さないために、国際社会は一致団結して取り組みを始めました。そして、海難事故の発生防止と人命の安全確保を目的として、1914年に「海上における人命の安全のための国際条約」、通称SOLAS条約が誕生しました。この条約は、それまで各国が独自に定めていた船舶の安全基準を国際的な枠組みに統一し、救命設備の基準強化、船舶の構造、無線設備の設置、航海の安全、運航の管理など、船舶の安全に関する包括的なルールを定めました。 SOLAS条約はその後も改正を重ねながら、時代の変化や技術の進歩に合わせて内容を更新し続けています。タイタニック号の悲劇から100年以上が経ちましたが、この条約は世界の海運の安全を守る上で重要な役割を果たし続けています。
原子力施設

原子力船:海の原子力利用

- 原子力船とは原子力船とは、その名の通り原子力を動力源とする船のことです。従来の船舶のように石油などを燃焼させるのではなく、原子炉内でウラン燃料を核分裂させて莫大な熱エネルギーを発生させます。 この熱を利用して水を沸騰させ、発生した蒸気でタービンを回転させます。そして、このタービンの回転エネルギーがスクリューに伝達されることで、推進力が生まれます。原子力船は、従来の船舶と比べて多くのメリットがあります。まず、一度の燃料搭載で長期間航行できるという点があります。原子力船は、従来の船舶のように頻繁に燃料補給をする必要がなく、長距離航海や極地などへの航海に適しています。また、二酸化炭素を排出しないため、環境に優しいという点も大きなメリットです。地球温暖化が深刻化する中で、環境負荷の低い船舶として注目されています。さらに、強力な動力を持つため、大型船や高速船にも適しています。しかし、原子力船には、建設コストの高額さや、事故発生時のリスクの大きさなど、いくつかの課題も残されています。