蛍光X線

その他

蛍光光度計: 物質の光る性質で分析

物質に光を当てると、その光は物質に吸収されたり、反射したり、あるいはそのまま通り抜けたりします。光を吸収した物質は、そのエネルギーによって様々な振る舞いを見せます。熱を帯びたり、化学変化を起こしたりする物質もあれば、再び光を放出して元の状態に戻る物質もあります。このように、物質が光を吸収し、再び光を放出する現象をまとめて発光現象と呼びます。 発光現象は、放出されるまでの時間の長さによって、蛍光と燐光に区別されます。 蛍光は、物質が光を吸収してから、再び光を放出するまでが非常に短い発光現象です。具体的には、ナノ秒からマイクロ秒という、1秒の100万分の1から100万分の1秒というごく短い時間で発光します。蛍光灯や蓄光シールなどに利用されています。 一方、燐光は、蛍光に比べて発光するまでの時間が長い発光現象です。具体的には、ミリ秒から数時間、あるいはそれ以上という長い時間、発光し続けます。夜光塗料や時計の文字盤などに利用されています。 このように、物質の発光現象は、私達の身の回りで様々に利用されています。
放射線について

蛍光X線:物質の指紋を読み解く技術

- 蛍光X線とは物質に光を当てると、その光は反射したり吸収されたりします。レントゲン写真のように、物質を透過する光もあります。では、物質にX線を当てるとどうなるでしょうか? 物質は、X線を吸収すると、自らもX線を放出することがあります。これを-蛍光X線-と呼びます。蛍光X線は、物質を構成する原子が持つエネルギーと深く関係しています。原子にX線が当たると、原子はエネルギーの高い状態になります。しかし、高いエネルギーの状態は不安定なため、原子はすぐに元の安定した状態に戻ろうとします。このとき、余分なエネルギーを電磁波として放出するのですが、この電磁波が蛍光X線なのです。面白いことに、蛍光X線のエネルギーは、原子によって異なります。これは、例えるなら、物質それぞれが固有の音色を持っているようなものです。私たちが音を聞いて楽器の種類を判別できるように、蛍光X線のエネルギーを調べることで、物質にどんな元素が含まれているのかを知ることができるのです。この蛍光X線の性質を利用した分析方法を-蛍光X線分析法-と呼びます。蛍光X線分析法は、非破壊で物質の元素組成を調べることができるため、様々な分野で利用されています。例えば、金属や鉱物の分析、環境中の有害物質の検出、文化財の調査など、多岐にわたる分野で活躍しています。