HOP法:原子力発電所の解体に向けた除染技術
- HOP法とは原子力発電所を安全に解体し、その土地を将来の世代に引き継ぐためには、発電所の運転によって生じた放射性物質を適切に除去する「除染」が欠かせません。長年稼働した原子炉の配管や機器の表面には、放射性物質を含む酸化物が付着してしまいます。これを効率的に除去するために開発された化学除染法の一つが、HOP法(ヒドラジン-シュウ酸-過マンガン酸カリウム法)です。HOP法は、三つの薬品を組み合わせて酸化物を溶解・剥離します。まず、ヒドラジンという薬品が酸化物を還元し、溶解しやすい状態に変えます。次に、シュウ酸が鉄などの金属イオンと結合し、安定な錯体を形成することで、金属の腐食を抑えながら酸化物を溶解していきます。最後に、過マンガン酸カリウムが残ったヒドラジンと反応し、処理液を中和することで除染工程が完了します。HOP法は、従来の除染方法と比べて、除染効果が高く、金属への影響が少ないという利点があります。そのため、原子炉の配管や機器など、複雑な形状をした対象物に対しても有効な除染方法として期待されています。しかし、処理時に二次廃棄物が発生するため、その処理方法が課題として残されています。今後、より環境負荷の少ない除染技術の開発が求められています。