誘導放射能

放射線について

誘導放射能:原子力と放射線の話

- 誘導放射能とは私たちの身の回りには、目には見えませんが、微量の放射線が常に飛び交っています。その多くは宇宙や大地から自然に発生するもので、自然放射線と呼ばれています。一方、原子力発電所などの人間が作り出した施設からも放射線は生じます。 原子炉や核融合炉といった施設では、ウランやプルトニウムといった原子核が核分裂反応を起こす際に、中性子やガンマ線といった放射線を放出します。これらの放射線が周囲の物質に当たると、物質を構成する原子の一部が放射線を吸収し、不安定な状態になることがあります。 物質が不安定な状態になると、やがて安定な状態に戻ろうとして、放射線を放出するようになります。 このように、放射線によって物質が放射能を持つようになる現象を誘導放射能と呼びます。誘導放射能は、原子力発電所で使われている機器や配管など、中性子を多く浴びる場所に設置されている構造材料に生じることがあります。 誘導放射能を持つ物質は、放射線を出す期間や強さが物質の種類や放射線の量によって異なるため、適切に管理する必要があります。 例えば、原子力発電所の運転終了後には、誘導放射能を持つ機器や構造物を安全に処理・処分するために、放射能のレベルや減衰の期間などを考慮した計画が立てられます。