軍縮

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戦略兵器削減への道:START条約とその変遷

1980年代、世界はアメリカ合衆国とソビエト社会主義共和国連邦という二つの超大国による冷戦の真っただ中にありました。両国は、いつ核戦争が勃発してもおかしくないという、緊迫した状況にありました。このような状況下、膨大な数の核兵器を保有する両国は、互いに不信感を募らせ、軍拡競争を繰り広げていました。しかし、このような状況は、1980年代後半に入ると変化を見せ始めます。ゴルバチョフ書記長率いるソ連が、ペレストロイカやグラスノストといった改革路線を打ち出し、国際社会との協調路線を模索し始めたのです。このような国際情勢の変化を受けて、1982年から、米ソ両国は戦略兵器削減条約(START)の交渉を開始しました。そして、冷戦終結後の1991年、ついに両国は第一次戦略兵器削減条約(START I)に調印しました。これは、米ソ両国の戦略核弾頭数を、それぞれ6,000発以下に削減するという画期的な内容でした。START Iは、米ソ両国が、核兵器の脅威を減らし、より安全な世界を目指して協力していくという決意を示すものでした。これは、核軍縮に向けた歴史的な一歩として、国際社会から高く評価されました。
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兵器用核物質生産禁止条約:核軍縮への道

- 条約の背景世界には、ひとたび使用されれば人類に計り知れない被害をもたらす核兵器が、数多く存在しています。核兵器がテロリストなどの非国家主体や、国際的な緊張状態にある国家の手に渡れば、壊滅的な結果を招きかねません。このような核兵器拡散の危機は、国際社会全体にとって、今まさに目の前にある深刻な脅威となっています。このような状況の中、核兵器の拡散を阻止し、世界の安全を保障するために、兵器用核分裂性物質生産禁止条約が提案されました。この条約は、核兵器の原料となるプルトニウムと高濃縮ウランの生産を禁止することを目的としています。プルトニウムと高濃縮ウランは、核兵器を製造するために不可欠な物質です。これらの物質の生産を禁止することで、新規の核兵器製造を抑制し、核拡散を食い止める効果が期待されています。兵器用核分裂性物質生産禁止条約は、核軍縮に向けた重要な一歩となる可能性を秘めています。国際社会全体で協力し、この条約の実現に向けて努力していくことが重要です。
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CTBT:核実験を全面的に禁止する条約

- 包括的核実験禁止条約とは包括的核実験禁止条約(CTBT)は、1996年9月に国連総会で採択された、核兵器実験を全面的に禁止する条約です。この条約は、地球上のあらゆる場所、すなわち大気圏内、宇宙空間、水中、地下を問わず、あらゆる核爆発を禁じています。CTBTは、核兵器の開発や改良、ひいては核拡散を抑制するために極めて重要な国際条約とされています。核実験は、新たな核兵器の開発や既存の核兵器の改良に欠かせないプロセスです。そのため、核実験を禁止することで、核兵器の開発競争に歯止めをかけ、核兵器の拡散を防ぐ効果が期待されます。この条約は、まだ発効していません。発効には、日本、アメリカ、中国、ロシア、イギリス、フランスなど、条約で指定された44か国全てが批准する必要があります。しかし、現在までにインド、パキスタン、北朝鮮を含む8か国が未批准であるため、条約は発効に至っていません。これらの未批准国の中には、既に核兵器を保有している国や、核兵器開発の意図が疑われている国も含まれています。そのため、CTBTの発効は、国際的な安全保障環境を大きく左右する重要な課題となっています。
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戦略兵器削減条約:核軍縮への道

- 冷戦時代の産物、戦略兵器削減条約とは戦略兵器削減条約(START)は、その名の通り、冷戦時代に締結された、アメリカ合衆国とソビエト連邦(当時)の間で結ばれた画期的な条約です。冷戦は、両陣営が核兵器を大量に保有し、一触即発の緊張状態が続いていました。このような状況下、核戦争の恐怖を払拭し、世界の平和と安全を守るために、両国は核兵器の削減に向けて動き出しました。STARTの交渉は、冷戦末期の緊張緩和を背景に開始されました。この条約の最大の目標は、両国が保有する戦略核兵器、特に大陸間弾道ミサイルや戦略爆撃機といった、都市や軍事施設を攻撃可能な強力な兵器の数を制限することでした。これは、単なる軍備管理の枠組みを超えて、核兵器を削減するという野心的な目標を掲げた点で、国際社会にとって極めて重要な意味を持っていました。STARTは、その後も何度か改定され、現在も米国とロシア(旧ソ連)の間で、戦略核兵器の削減に向けた努力が続けられています。冷戦の終結から30年以上が経過したいまも、STARTは核兵器の脅威を抑制し、国際的な平和と安全保障を維持するために重要な役割を果たしていると言えるでしょう。