追加議定書

原子力の安全

原子力の平和利用を守る仕組み:保障措置とは

- 保障措置の目的 原子力発電をはじめとした原子力の平和利用は、私たちの社会に様々な恩恵をもたらす一方で、軍事転用される可能性も孕んでいます。もしも、発電などに使用されるはずの核物質が、兵器の開発に利用されてしまったら、国際社会の安全が脅かされる事態になりかねません。 そこで、核物質が平和的な目的だけに利用されていることを国際的に確認し、軍事転用を防ぐための仕組みとして、保障措置が設けられています。これは、国際原子力機関(IAEA)による査察などを柱とした、世界共通の監視システムです。 保障措置は、核兵器の拡散を防止するとともに、原子力の平和利用を促進するという、国際社会全体の利益につながる重要な役割を担っていると言えるでしょう。具体的には、各国がIAEAと締結した保障措置協定に基づき、核物質の在庫や移動などをIAEAに報告し、IAEAは報告内容が正しいことを確認するために、査察などを行っています。 このように、保障措置は、国際的な協力と信頼関係のもとに成り立っており、原子力の平和利用を持続可能なものとするために、欠かせないものです。
原子力の安全

原子力発電の監視強化:プログラム93+2とは?

- 背景 1990年代初頭、世界は大きな不安に包まれました。イラクと北朝鮮という二つの国が、核兵器の開発を進めているのではないかという疑惑が浮上したのです。この出来事は国際社会に衝撃を与え、原子力エネルギーの平和利用と軍事転用を防ぐための取り組みを見直す転機となりました。 当時、原子力エネルギーの平和利用を促進し、同時に軍事目的への転用を防ぐという重要な役割を担っていたのが、国際原子力機関、IAEAでした。IAEAは加盟国における原子力活動に対して、「保障措置」と呼ばれる独自の査察制度を運用していました。これは、加盟国が保有する核物質が、兵器開発など平和利用以外の目的に使用されていないかを監視するシステムです。しかし、イラクと北朝鮮の疑惑は、当時のIAEAの保障措置制度だけでは、核物質の軍事転用を完全に防ぐことができないという重大な事実を世界に突きつけました。 この経験を踏まえ、国際社会はIAEAの保障措置制度をより強化する必要性を強く認識しました。そして、より厳格かつ実効的な査察体制を構築することで、世界は核不拡散体制の強化を目指していくことになります。