
原子力発電のコーストダウン運転とは?
- コーストダウン運転の概要原子力発電所では、炉心内で核燃料が徐々に燃焼していくため、運転期間の後半になると、設計当初の出力で運転を続けることが難しくなります。このような場合に、徐々に原子炉の出力を低下させていく運転方法を「コーストダウン運転」と呼びます。 コーストダウン運転は、燃料の消費が進んだ車を、燃料切れになるまで走り続けるのではなく、速度を徐々に落として燃費良く走行距離を伸ばすことに似ています。この運転方法を採用する主な目的は2つあります。まず、核燃料をより効率的に利用するためです。 出力を一定に保つよりも、徐々に低下させていく方が、同じ量の燃料からより多くのエネルギーを取り出すことができます。もう一つの目的は、発電所の定期検査時期を調整するためです。 原子力発電所では、一定期間ごとに運転を停止して設備の点検や補修などを行う定期検査が義務付けられています。 コーストダウン運転を行うことで、燃料の残量を調整し、次の定期検査の時期に合わせて運転を終了することが可能となります。このように、コーストダウン運転は、燃料の有効活用と発電所の効率的な運用に大きく貢献する運転方法と言えるでしょう。