過渡沸騰

原子力の安全

減圧沸騰:圧力変化がもたらす沸騰現象

- 減圧沸騰とは減圧沸騰とは、密閉された容器に入った液体が、容器内の圧力が下がることで沸騰する現象です。私たちが普段目にしている水の沸騰は、1気圧という環境下で100℃になると起こります。しかし、これはあくまで1気圧という条件での話です。高い山に登って気圧が低い場所に行くと、水は100℃よりも低い温度で沸騰し始めます。これは、気圧が低いほど、水が水蒸気に変化しやすくなるからです。減圧沸騰もこれと同じ原理で、密閉容器内の圧力を下げることで、中の液体の沸点を下げ、沸騰させることができます。例えば、密閉容器の中に水を入れて加熱し、沸騰させたとします。この時、容器内の圧力は水蒸気で満たされ、高い状態になっています。ここで、容器内の水蒸気を外部に排出するなどして圧力を下げると、どうなるでしょうか。すると、それまで沸騰していた水が、低い温度でも再び沸騰し始めます。これが減圧沸騰です。減圧沸騰は、私たちの身の回りでも様々な場面で利用されています。例えば、コーヒーメーカーでは、減圧沸騰を利用して、低い温度でコーヒーを抽出しています。また、食品のフリーズドライ製法も、減圧沸騰を利用して、食品中の水分を凍らせたまま蒸発させています。