遺伝

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内因性パラメータ:病気のかかりやすさ

- 内因性パラメータとは私たち一人ひとりの体には、生まれながらにして備わっている性質や特徴があります。このような、その人を特徴づける要素のことを「内因性パラメータ」と呼びます。内因性パラメータには、目で見てすぐにわかるものと、そうでないものがあります。例えば、髪の色や目の色は、その人の外見を特徴づけるわかりやすい内因性パラメータと言えるでしょう。一方、特定の病気にかかりやすい、あるいはかかりにくいといった体質は、普段は意識することが少ない内因性パラメータです。内因性パラメータは、私たちの健康状態に大きな影響を与えます。 ただし、健康状態は内因性パラメータだけで決まるわけではありません。生まれた後に周囲の環境から受ける影響、すなわち「外因性パラメータ」も、健康状態を左右する重要な要素です。内因性パラメータと外因性パラメータは、複雑に絡み合いながら私たちの体に影響を与えています。 例えば、生まれつきある病気にかかりやすい体質を持っていても、生活習慣に気を配ることで発症リスクを抑え、健康を保てる場合があります。このように、内因性パラメータは、私たちが健康に過ごす上で理解しておくべき重要な要素の一つなのです。
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外因性パラメータと健康

- 外因性パラメータとは私たち人間は、生まれ持った体質や遺伝情報の影響を大きく受けますが、それと同時に、生まれてから成長していく過程で触れる様々な環境によって、体や心が変化していきます。 このような、後天的に身に付く特徴や変化のことを「外因性パラメータ」と呼びます。例えば、幼い頃にどのような食事を摂っていたか、屋外で活発に体を動かしていたか、空気や水がきれいな地域で育ったかといったことは、全て外因性パラメータといえます。 また、家族や友人との良好な関係、学校や職場での人間関係、日々の生活で感じるストレスの大小なども、心身に影響を与える外因性パラメータです。これらの要素は、単独で作用するのではなく、複雑に絡み合いながら、私たちの健康状態を左右します。健やかな成長や健康維持のためには、遺伝的な要素だけでなく、どのような環境に身を置くか、どのような生活習慣を送るかといった外因性パラメータにも意識を向けることが大切です。
放射線について

放射線と先天性異常:知っておくべきこと

- 先天性異常とは 赤ちゃんが母親のお腹の中にいる時、つまり妊娠中に、身体の一部に異常がみられることを先天性異常といいます。これは、生まれた時にすでに症状が現れている場合もあれば、成長とともに明らかになる場合もあります。 先天性異常は、その種類や程度も様々です。比較的軽度で、日常生活に支障をきたさないものもあれば、手術が必要な心臓の異常や、発達や学習に影響を及ぼす脳の異常など、重度のものもあります。 先天性異常の原因は、まだ完全には解明されていません。しかし、両親から受け継いだ遺伝子が原因となる場合や、妊娠中の母親の生活習慣、例えば喫煙や飲酒、特定の薬の使用などが影響する場合、また、風疹などの感染症が原因となる場合もあると考えられています。 先天性異常は、決して珍しいものではなく、約30人に1人の赤ちゃんに何らかの異常がみられるといわれています。そのため、妊娠中の定期的な検診などを通じて、早期発見や適切な対応をすることが重要です。 近年では、出生前検査によって妊娠中に異常を発見できるケースも増えています。これは、両親が事前に心の準備をしたり、出産後に備えて適切な医療機関を選んだりする上で役立ちます。 先天性異常を持つ子どもたちは、周りのサポートを受けながら、それぞれのペースで成長していきます。大切なのは、一人ひとりの違いを認め、温かく見守ることです。
放射線について

劣性突然変異:世代を超えて現れる影響

私たちの体を作る設計図、それが遺伝子です。この遺伝子は、親から子へと受け継がれていきます。 遺伝子は、細胞分裂の際に複製されますが、その過程でまれに設計図の一部が変化することがあります。また、紫外線や放射線などの環境要因によって遺伝子が傷つけられ、その修復過程で変化が生じることもあります。このような遺伝子の変化は、突然変異と呼ばれます。 突然変異は、生物にとって常に悪い影響を与えるわけではありません。生物が進化する過程において、突然変異は重要な役割を果たしてきました。例えば、環境に適応するために有利な性質をもたらす突然変異が起きた場合、その性質を持った個体が生き残り、子孫を残していくことで、新しい種が誕生する可能性もあります。 一方で、突然変異の中には、細胞の異常増殖を引き起こし、がんの発症につながるものもあります。また、遺伝子の機能に異常をきたし、遺伝性疾患の原因となることもあります。 このように、突然変異は生物にとって、進化の原動力となる可能性と、病気の原因となる可能性の両面を持つ現象と言えるでしょう。
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遺伝有意線量:将来世代への影響を考える

- 遺伝有意線量とは遺伝有意線量とは、放射線被ばくが将来世代にもたらす遺伝的な影響の大きさを評価するために用いられる指標です。放射線は、私たちの体を構成する細胞に損傷を与える可能性があり、特に精子や卵子を作る生殖腺への被ばくは、遺伝子に変化を引き起こす可能性があります。このような遺伝子の変化は、被ばくを受けた本人だけでなく、その子供や、さらに先の世代にまで受け継がれる可能性があります。具体的には、被ばくした集団全体において、将来生まれてくる子供たちに現れる遺伝的な影響の総量を、子供一人当たりに平均した線量として表したものが遺伝有意線量です。言い換えれば、ある集団が放射線に被ばくしたとき、将来世代にわたって現れる遺伝的な影響の大きさを、子供一人当たりが受ける線量に換算して示した値と言えます。遺伝有意線量は、将来世代への放射線の影響を管理し、被ばくを最小限に抑えるための重要な指標となります。原子力発電所や医療現場など、放射線を扱う施設では、この遺伝有意線量を適切に評価し、管理することが必要不可欠です。
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遺伝子暗号:生命の設計図を読み解く

私たち人間を含め、地球上に息づくあらゆる生物は、親から子へと命のバトンを受け継ぎながら、脈々とその歴史を刻んでいます。そして、この命のリレーと同時に、親の特徴が子に受け継がれるという神秘的な現象もまた、繰り返されてきました。 例えば、顔つきが親にそっくりだったり、声色が似ていたりするのは、まさにこの遺伝情報によるものです。また、特定の病気にかかりやすい体質なども、目には見えない遺伝情報として、親から子へと受け継がれている場合があります。 この遺伝情報は、いわば生命の設計図とも言えるもので、親から受け継いだ設計図に基づいて、私たちは一人ひとりの個性や特徴を形作っています。目には見えない小さな遺伝情報ですが、そこには、私たちが人間として存在するための大切な情報がぎっしりと詰まっているのです。 そして、親から子へ、子から孫へと、この遺伝情報は途切れることなく受け継がれ、気が遠くなるような長い年月をかけて、現在の私たちへと繋がっています。私たち一人ひとりの存在は、まさに奇跡的な遺伝情報のリレーの上に成り立っていると言えるでしょう。
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原子力と形質:遺伝の不思議な物語

生き物は、実に多様な姿かたちと性質を持っています。背の高い人と低い人、鮮やかな赤い花と純白の花、風のように速く走る動物とゆっくりと歩く動物など、これらの違いは一体どのようにして生まれるのでしょうか?その答えとなるのが「形質」です。形質とは、生き物の姿かたちや性質、色、大きさ、行動などを決める遺伝的な特徴のことです。 古くから、人はこの形質に着目し、生き物を分類してきました。18世紀にスウェーデンの植物学者リンネが確立した生物の分類体系は、植物の花びらの数や葉の形といった形質に基づいています。 形質は、親から子へと受け継がれる遺伝情報によって決まります。遺伝情報は、細胞の中にあるDNAと呼ばれる物質に記録されています。DNAは、まるで設計図のようなもので、その情報に基づいてタンパク質が作られます。タンパク質は、生き物の体の組織や器官を作り、生命活動を維持するために働いています。つまり、形質は、遺伝情報であるDNAの設計図に基づいて作られたタンパク質によって現れるのです。 形質は、生き物が環境に適応し、生き残っていく上で重要な役割を果たしています。例えば、砂漠に生息するサボテンのとげは、動物に食べられないように身を守るための形質です。また、北極に住むホッキョクグマの白い毛皮は、雪原で獲物に気づかれずに近づくためのカモフラージュとして役立っています。このように、形質は、生き物が長い年月をかけて進化してきた証でもあるのです。