遺伝子発現

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遺伝子の隠された物語:介在配列の謎

私たちの体は、タンパク質をはじめ様々な分子によってその働きが保たれています。これらの分子を作るための設計図となるのが遺伝子です。遺伝子は、デオキシリボ核酸と呼ばれる長い鎖状の分子の中に、特定の塩基の並び方として保存されています。遺伝子というと、そのすべてがそのままタンパク質の設計図になっていると思われがちですが、実際には少し複雑です。遺伝子は、タンパク質の設計情報が書かれた部分と、その情報を制御する部分に分かれています。 まず、タンパク質の設計情報が書かれた部分は「構造遺伝子」と呼ばれ、体の機能を担うタンパク質のアミノ酸配列を決定します。一方、情報を制御する部分は「調節領域」と呼ばれ、遺伝子がいつ、どこで、どのくらい働くかを調節する役割を担います。調節領域には、遺伝子のスイッチを入れる「プロモーター」や、スイッチを切る「ターミネーター」、働く強さを調節する「エンハンサー」や「サイレンサー」など、様々な機能を持った領域が存在します。 このように、遺伝子はタンパク質の設計図というだけでなく、その情報を精密に制御する仕組みも併せ持っているのです。遺伝子の働きを理解することで、生命現象の解明や、病気の治療法開発など、様々な分野への応用が期待されています。