陽電子

放射線について

PET検査:がん診断の最先端

- PET検査とはPET検査は、陽電子放出断層撮影と呼ばれる、体内の状態を画像で確認する検査です。核医学という分野で行われる検査の一種で、放射線を利用するのが特徴です。検査を受ける際には、まずごく微量の放射性物質を含む薬剤を体内に注射します。この薬剤は、ブドウ糖によく似た性質を持っており、細胞が活発に活動している場所ほど多く集まります。例えば、がん細胞は正常な細胞よりも活発に分裂と増殖を繰り返すため、より多くの薬剤が集まります。注射した薬剤から、陽電子と呼ばれる小さな粒子が放出されます。陽電子は体内の電子と衝突し、その際に微弱なエネルギーであるガンマ線を放出します。PET検査では、このガンマ線を特殊なカメラで捉え、コンピューター処理によって体の断面画像を作り出します。この画像からは、薬剤の集まり具合によって、臓器や組織の活動状況を知ることができます。がん細胞は薬剤を多く取り込むため、周囲の正常な組織と比べて明るく映し出されます。そのため、がんの診断や病状の把握、治療効果の判定などに役立ちます。
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原子力の基本:ベータ線とは?

原子力の仕組みを理解する上で、放射線に関する知識は基礎となります。放射線には、アルファ線、ガンマ線など、いくつか種類がありますが、その中でも重要なもののひとつにベータ線があります。 原子の中心にある原子核は、不安定な状態になると、より安定した状態になろうとして、放射線を放出します。これを放射性崩壊と呼びます。ベータ線は、この放射性崩壊に伴って放出される電子の流れのことを指します。 ベータ線には、大きく分けて二つの種類があります。一つは、原子核内の中性子が陽子に変化する際に放出されるβ(−)粒子で、もう一つは陽子が中性子に変化する際に放出されるβ(+)粒子です。私たちが普段「ベータ線」と呼んでいるのは、ほとんどの場合、前者のβ(−)粒子を指します。
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陽電子:電子の鏡像

- 陽電子とは陽電子は、私たちがよく知る電子の、いわば鏡写しのような存在です。 電子は負の電気を帯びているのに対し、陽電子は正の電気を帯びています。 しかし、電子の重さと同じ重さを持っているため、両者はちょうどシーソーのようにバランスの取れた関係にあります。電子は私たちの身の周りの物質を構成する、大変重要な要素の一つです。 原子は中心にある原子核と、その周りを飛び回る電子からできていますが、陽電子はこの電子と非常によく似た性質を持っています。 陽電子は、宇宙から降り注ぐ宇宙線の中にも含まれており、自然界にもわずかに存在しています。 また、医療の現場では、陽電子を放出する性質を利用して、体内の状態を詳しく調べるPET検査にも利用されています。 まるでSFの世界から飛び出してきたような響きを持つ陽電子ですが、 現在では医療分野だけでなく、材料科学やエネルギー分野など、様々な分野で応用が期待される、大変興味深い研究対象となっています。