
原子力発電の安全装置:非常用復水器
原子力発電所では、国民の安全を最優先に考え、通常運転時だけでなく、様々な想定外の事態にも備え、安全性を確保するための設備が多数設置されています。これらの設備は、何重もの安全対策を講じることで、重大な事故を未然に防ぐ役割を担っています。
その中でも、非常用復水器は、原子炉で万が一異常な事態が発生した場合に、原子炉を安全かつ速やかに停止させ、炉心の損傷を防ぐための重要な安全装置の一つです。
非常用復水器は、原子炉で発生した蒸気を冷却し、水に戻す働きをします。原子炉が異常な状態になった場合、原子炉を緊急停止させる必要がありますが、この緊急停止後も、原子炉内では核分裂反応の余熱によって熱が発生し続けます。この熱を適切に処理しないと、炉心が過熱し、損傷する可能性があります。非常用復水器は、この余熱を速やかに除去し、炉心を冷却することで、炉心の損傷を防止し、放射性物質の漏えいを防ぐための重要な役割を担っているのです。