
原子力発電の草分け的存在:炭酸ガス冷却炉
- 炭酸ガス冷却炉とは炭酸ガス冷却炉は、原子炉で発生する莫大な熱を効率的に冷やすために、冷却材として炭酸ガスを用いる原子炉です。原子炉の中では、核分裂反応によってウラン燃料から熱が絶えず生み出されます。この熱を適切に取り除かなければ、原子炉の温度が過度に上昇し、炉心溶融などの深刻な事故につながる可能性があります。炭酸ガス冷却炉では、高温になった燃料集合体から熱を奪い取るために、炭酸ガスが冷却材として循環しています。炭酸ガスは熱に対して非常に安定した性質を持つため、高温になっても容易に分解したり、他の物質と反応したりすることがありません。これは、原子炉の安全性を確保する上で非常に重要な要素です。炉内で加熱された炭酸ガスは、熱交換器である蒸気発生器へと送られます。蒸気発生器では、炭酸ガスのもつ熱が水に伝えられ、水が沸騰して蒸気が発生します。発生した高温・高圧の蒸気はタービンを回転させるための動力源となり、タービンにつながった発電機によって電気が生み出されます。さらに、炭酸ガスは水と反応しにくいという特徴も持ち合わせています。これは、万が一原子炉内で水漏れが発生した場合でも、冷却材としての炭酸ガスの性能が大きく損なわれにくいことを意味し、原子炉の安全性をより一層高めることに貢献しています。