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原子力発電の基礎知識

次世代の原子力発電:鉛合金冷却炉とは?

- 革新的な原子炉の仕組み原子力発電の未来を担うものとして、「第4世代原子炉(Generation IVGEN-IV)」と呼ばれる、革新的な原子炉の開発が進められています。その中でも特に注目されているのが、鉛合金冷却炉です。従来の原子炉では、水が高温高圧の状態で冷却材として使用されてきました。しかし、万が一、冷却水が何らかの原因で失われてしまうと、炉心は過熱し、メルトダウンと呼ばれる深刻な事態に陥る可能性がありました。一方、鉛合金冷却炉では、冷却材として鉛や鉛ビスマス合金を使用します。これらの金属は、水に比べて格段に融点が高いため、高温・高圧の環境下でも沸騰しにくいという特性があります。そのため、従来の原子炉よりも安全性が高いと考えられています。また、鉛合金冷却炉は、高い熱伝導率も持ち合わせています。熱伝導率が高いということは、効率的に熱を運ぶことができるということであり、発電効率の向上に繋がります。さらに、鉛合金は中性子を吸収しにくい性質を持つため、核燃料をより有効に活用することが可能となります。鉛合金冷却炉は、安全性と効率性を飛躍的に向上させる可能性を秘めた、革新的な原子炉として期待されています。実用化に向けて、研究開発が精力的に進められています。