原子力発電における状態基準保全
日本の産業設備においては、長年にわたり、時間の経過を基準に定期的に保守を行う時間基準保全が一般的な手法として採用されてきました。これは、あらかじめ定められた期間や稼働時間ごとに、部品の交換や設備全体の点検を実施するというものです。
例えば、工場の機械であれば、3ヶ月に一度、あるいは、稼働時間が1000時間に達するごとに、部品交換や点検を行うといった具合です。
しかし、この時間基準保全には、いくつかの問題点が指摘されています。
一つは、設備の実際の状態を考慮せずに、機械的に保守を行ってしまうという点です。まだ十分に使える状態の部品であっても、決められた時期が来れば交換となるため、資源の無駄遣いやコスト増加につながりかねません。
さらに、必要以上の分解点検は、設備への負荷を増大させ、結果的に寿命を縮めてしまうというリスクもはらんでいます。人が頻繁に機械を分解し、部品を交換することは、一見、丁寧な保守のように思えますが、実際には、その過程で新たな故障を招いたり、部品の劣化を早めてしまう可能性もあるのです。