原子炉の安全装置:制御棒駆動機構
原子力発電所では、発電量を需要に応じて調整する必要があります。この調整は、火力発電のように燃料の量を調節するのではなく、原子炉内で起こる核分裂反応の速度を制御することによって行われます。
原子炉の出力調整において中心的な役割を担うのが制御棒です。制御棒は、中性子を吸収しやすい物質で作られており、原子炉の炉心に挿入したり引き抜いたりすることで、核分裂反応の速度を制御します。
炉心内に制御棒を挿入すると、中性子が吸収され、核分裂反応が抑制されます。その結果、発生する熱エネルギーが減少し、原子炉の出力が低下します。逆に、制御棒を炉心から引き抜くと、中性子を吸収する量が減り、核分裂反応が促進されます。これにより、発生する熱エネルギーが増加し、原子炉の出力が上昇します。
このように、制御棒を炉心内の適切な位置に移動させることによって、原子炉の出力を需要に応じて調整し、安定した電力供給を実現しています。