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核燃料

原子力発電の心臓部を守る: クラッドの役割

原子力発電では、ウラン燃料が核分裂反応を起こして莫大なエネルギーを生み出します。この時、燃料は高温になり、強い放射線を放出します。もし、燃料がそのままの状態で原子炉の中に置かれたら、どうなるでしょうか。燃料は高温に耐えきれずに溶けてしまったり、放射線の影響でボロボロに腐食してしまったりするでしょう。 そこで、燃料を守るために重要な役割を担うのが「クラッド」と呼ばれる金属製の被覆材です。 クラッドは、例えるなら、熱々のソーセージを包むパリッとした皮のようなものです。 燃料をしっかりと覆うことで、原子炉内を循環する冷却水との直接の接触を防ぎ、溶融や腐食から守っているのです。 クラッドの素材は、原子炉の種類によって異なります。現在、主流となっている軽水炉では、ジルコニウム合金が主に用いられています。ジルコニウム合金は、中性子を吸収しにくく、高温や放射線に強いという特性を持つため、過酷な環境下でも安定して燃料を保護することができます。一方、高速炉と呼ばれるタイプの原子炉では、ステンレス鋼がクラッドの素材として使われています。このように、原子炉の設計や運転条件に合わせて、最適な素材のクラッドが選択されているのです。