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原子力の安全

原子力発電所の安全を守る:設計基準事象とは

原子力発電所は、膨大なエネルギーを生み出すことができる一方で、その安全確保には万全を期さなければなりません。安全性を確実なものとするために、様々な設備やシステム、そして厳格な設計思想が採用されています。 その中でも特に重要な概念が「設計基準事象」です。これは、原子力発電所の設計段階において想定される、起こりうる範囲で最も厳しい事象を指します。具体的には、地震や津波といった自然災害、機器の故障、人的ミスなどが考えられます。 原子力発電所は、これらの設計基準事象に対して、安全性を損なうことなくその影響を最小限に抑えられるよう設計されています。例えば、原子炉を格納する原子炉格納容器は、設計基準事象による圧力や温度の上昇に耐えられるよう、強固な構造とされています。また、非常用炉心冷却系など、多重の安全装置を備えることで、万一、事故が発生した場合でも、原子炉の安全を確保できるようになっています。 このように、原子力発電所は、「設計基準事象」という考え方に基づき、あらゆる事態を想定した設計がなされているため、高い安全性を維持できるのです。