
遺伝子の化学:形質転換
生き物の特徴を決める設計図、それが遺伝子です。通常、遺伝情報は親から子へと受け継がれていきます。しかし、時には全く異なる個体間で、遺伝情報の一部が移動することがあります。これを「形質転換」と呼びます。
形質転換は、ある生物から別の生物へ、遺伝情報の一部を移し替える操作です。例えば、毒素を作らない無毒な細菌を想像してみてください。この細菌に、毒素を作る細菌から取り出した遺伝情報を与えると、無毒だった細菌が毒素を作るようになる、という驚きの変化が起こり得るのです。
このように、形質転換は、ある生物の持つ性質を、別の生物に与えることができる現象です。これは、遺伝子が生物の設計図としての役割を持つことを示すだけでなく、生物の性質を人工的に変えることができる可能性を示唆しています。形質転換は、医学や農学などの分野で、新しい薬や品種の開発に役立てられています。