DNA

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遺伝子の化学:形質転換

生き物の特徴を決める設計図、それが遺伝子です。通常、遺伝情報は親から子へと受け継がれていきます。しかし、時には全く異なる個体間で、遺伝情報の一部が移動することがあります。これを「形質転換」と呼びます。 形質転換は、ある生物から別の生物へ、遺伝情報の一部を移し替える操作です。例えば、毒素を作らない無毒な細菌を想像してみてください。この細菌に、毒素を作る細菌から取り出した遺伝情報を与えると、無毒だった細菌が毒素を作るようになる、という驚きの変化が起こり得るのです。 このように、形質転換は、ある生物の持つ性質を、別の生物に与えることができる現象です。これは、遺伝子が生物の設計図としての役割を持つことを示すだけでなく、生物の性質を人工的に変えることができる可能性を示唆しています。形質転換は、医学や農学などの分野で、新しい薬や品種の開発に役立てられています。
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細胞の設計図:クロマチンの役割

私たち人間は、およそ37兆個もの細胞が集まってできています。一つ一つの細胞の中には、「核」と呼ばれる小さな部屋のようなものがあります。この核の中には、親から受け継いだ体や才能などの設計図である「DNA」が保管されています。 DNAは、例えるなら、非常に長い糸のようなもので、もしもこの糸を伸ばすと、なんと2メートルもの長さになるといわれています。小さな核の中に、そんなに長い糸がそのままの形で収納されているはずがありません。そこで登場するのが、「クロマチン」です。 クロマチンは、DNAとタンパク質が絡み合ってできた構造体で、まるで糸巻きのようにDNAを巻き付け、コンパクトに収納しています。このおかげで、2メートルにもなる長いDNAも、核という小さな部屋の中に、きれいに収まっているのです。 このように、クロマチンは、膨大な量の遺伝情報であるDNAを、秩序正しく収納するという大切な役割を担っています。いわば、生命の設計図を収納する、特殊な収納ケースと言えるでしょう。
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遺伝子の変化、優性突然変異とは?

私たち人間を含め、地球上のあらゆる生物は、小さな細胞が集まってできています。顕微鏡でなければ見えないほど小さな細胞ですが、その中には生命の設計図とも呼ばれる、不思議な力を持ったものが存在します。それが遺伝子です。 この遺伝子には、親の特徴が子に受け継がれるための、とても大切な情報が記録されています。例えば、目の色や髪の色、背の高さなど、親から子へと受け継がれる様々な特徴は、遺伝子によって決められているのです。 しかし、遺伝子はいつも変わらないかというと、そうではありません。紫外線や放射線といった、目には見えないエネルギーの影響を受けたり、細胞が分裂する際にまれに起こるエラーが原因となって、遺伝子の情報が変わってしまうことがあるのです。このような遺伝子の変化を、私たちは突然変異と呼んでいます。 突然変異は、生物にとって、良い影響を与える場合もあれば、悪い影響を与える場合もあります。突然変異によって、環境に適応しやすくなり、より生き残る可能性が高まることもあれば、逆に病気を引き起こしやすくなることもあります。このように、突然変異は、生物の進化に大きな影響を与えてきたと考えられています。
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細胞を守る巧妙なしくみ:除去修復

私たちの体を作る設計図ともいえる遺伝情報は、DNAと呼ばれる物質に記録されています。DNAは、はしごをねじったような形をした非常に長い分子で、細胞の中心にある核の中に大切に保管されています。この設計図であるDNAは、細胞が分裂して新しい細胞を作る際に正確に複製されることで、親から子へと受け継がれていきます。 しかし、DNAは常に危険にさらされています。放射線や紫外線、細胞内の化学物質などによって、日々少しずつ損傷を受けているのです。このような損傷は、遺伝情報に異常を引き起こし、細胞のガン化や細胞死につながる可能性もあるため、決して無視することはできません。 そこで、細胞はDNAの損傷を修復するための巧妙な仕組みをいくつか備えています。例えば、損傷を受けたDNAの一部を切り取って修復する仕組みや、損傷した部分を元の状態に戻す仕組みなどです。これらの修復機構は、細胞の生存と正常な機能維持に不可欠です。修復機構が正常に働かなくなると、遺伝情報は損傷を受けやすくなり、細胞はガン化しやすくなってしまいます。 このように、私たちの細胞は、遺伝情報を守るために、様々な防御機構を進化させてきました。そのおかげで、私たちは健康な体を維持し、子孫へと遺伝情報を伝えることができるのです。