ヨーロッパ統合と原子力: EECの誕生
第二次世界大戦の終結後、ヨーロッパの国々は二度と戦争の惨禍を繰り返さないという強い決意の下、新たな道を歩み始めました。荒廃からの復興と恒久的な平和の実現に向けて、国家間の協調と統合が模索され、その象徴的な出来事として1952年に欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)が誕生しました。
これは、当時のフランスの外務大臣であったロベール・シューマンの提唱に基づき実現したもので、「シューマン宣言」として歴史に名を刻んでいます。
この共同体は、当時、戦争の主要な資源となっていた石炭と鉄鋼という重要な産業を共同で管理下に置くことで、加盟国間の経済的な結びつきを強化し、戦争の可能性を根本から断つことを目指していました。
具体的には、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの6カ国が参加し、石炭と鉄鋼の関税を撤廃し、共通市場を形成しました。
ECSCの発足は、ヨーロッパ統合に向けた第一歩として非常に重要な意義を持ちました。それは、単なる経済的な統合にとどまらず、長年にわたる対立と不信を乗り越え、ヨーロッパ諸国が共通の目標に向かって協力していくという新たな時代の幕開けを告げるものでした。