原子炉の安全性を高めるGEMとは
原子力発電の安全性をより高めるために、世界中で様々な技術開発が進められています。中でも注目されている技術の一つに、高速炉と呼ばれる原子炉があります。アメリカ合衆国にあるアルゴンヌ国立研究所が開発を進めていたPRISMも、この高速炉の一種です。PRISMは、従来の原子力発電所で広く使われている軽水炉とは異なり、冷却材に水ではなく液体ナトリウムを使用していることが大きな特徴です。
軽水炉では、燃料であるウランを核分裂させて熱エネルギーを取り出す際に、水を使用しています。一方、PRISMのような高速炉では、液体ナトリウムを冷却材として使用します。液体ナトリウムは水に比べて熱を伝える能力が高く、より高い温度で冷却することができます。このため、PRISMは従来の軽水炉よりも高い熱効率で発電することが可能となります。さらに、PRISMは液体ナトリウムの優れた熱伝導特性を活かすことで、原子炉の運転をより安定的に行うことができ、安全性も向上すると期待されています。
PRISMは革新的な原子炉設計として注目されましたが、残念ながら実用化には至っていません。しかしながら、PRISMで培われた高速炉技術は、将来の原子力発電の安全性向上や効率化に貢献する可能性を秘めています。