原子力発電の未来を担う2トラック方式
- 2トラック方式とは2トラック方式とは、アメリカが提唱する原子力発電の包括的な計画であるGNEP(Global Nuclear Energy Partnership世界原子力エネルギーパートナーシップ)の中核をなす戦略です。これは、原子力発電を持続可能なエネルギー源として確立し、同時に、放射性廃棄物の問題を根本的に解決することを目指した枠組みです。この方式の特徴は、短期的な視点と長期的な視点を組み合わせた段階的なアプローチを採用している点にあります。まず、短期的な視点としては、現在主流であるウランを燃料とする原子力発電技術を改良し、より効率的に利用することで、エネルギーの安定供給と二酸化炭素排出量の削減を図ります。具体的には、現在の原子炉よりもウランの利用効率を高めた新型炉の開発や、運転済燃料を再処理して燃料として再利用する技術の確立などが挙げられます。一方、長期的な視点としては、高速炉と閉じた燃料サイクル技術の開発・導入を目指します。高速炉は、ウランよりも資源量の豊富なプルトニウムを燃料として利用できるため、エネルギー資源の枯渇問題を解決する可能性を秘めています。さらに、閉じた燃料サイクル技術を用いることで、放射性廃棄物の発生量を大幅に減らし、最終的な処分量を最小限に抑えることが期待されています。このように、2トラック方式は、既存技術の改良と革新的技術の開発を並行して進めることで、原子力発電の抱える問題を解決し、次世代のエネルギー源としての地位を確立しようとする、意欲的な戦略といえます。