
HAMMLAB:原子力発電における人と機械の協調
1967年、ノルウェーのハルデン炉において、原子力発電の安全性と効率性を向上させるための革新的な計画が開始されました。これは「ハルデン計画」と呼ばれ、コンピュータの力を駆使して原子炉の運転を自動化する、当時としては極めて先進的な試みでした。
ハルデン計画の最大の目的は、原子炉の運転データ収集と分析、そしてそれらに基づいた制御をコンピュータに任せることで、人間のオペレーターの負担を軽減し、ヒューマンエラーの可能性を最小限に抑えることにありました。これは、航空機の操縦システムに自動操縦装置が導入されたのと同様に、原子力発電の安全性と信頼性を飛躍的に向上させる可能性を秘めていました。
ハルデン計画では、原子炉の炉心内の中性子束分布や温度、圧力などの膨大なデータをリアルタイムで収集・分析し、その結果に基づいて制御棒の挿入量や冷却材の流量を自動的に調整することで、原子炉の出力を最適に保つことを目指しました。また、収集されたデータは、原子炉の安全性評価や運転効率向上のための研究開発にも活用されました。
ハルデン計画は、その後の原子力発電におけるコンピュータ応用の先駆けとなり、世界中の原子力発電所の設計・運転に大きな影響を与えました。今日では、コンピュータによる高度な制御システムは、原子力発電所の安全性と効率性を維持する上で不可欠なものとなっています。