IMR

核燃料

原子力発電とプルトニウム:国際管理の必要性

- プルトニウムの発生源原子力発電所では、ウラン燃料を核分裂させて莫大なエネルギーを生み出しています。この核分裂反応の過程で、元々のウラン燃料とは異なる物質が新たに生成されます。それがプルトニウムです。プルトニウムは、天然にはごく微量しか存在しない元素ですが、原子炉内ではウランが中性子を吸収することによって生み出されます。プルトニウムは、ウランと同様に核分裂を起こす性質、つまりエネルギーを生み出す性質を持っています。そのため、プルトニウムを燃料として再利用する、いわゆるプルサーマル発電という技術も開発されています。プルサーマル発電は、貴重な資源であるウランの有効利用や、放射性廃棄物の減容化に貢献する技術として期待されています。しかし、プルトニウムはエネルギー源としての側面だけでなく、核兵器の原料になりうるという側面も持ち合わせています。そのため、プルトニウムの生成、利用、そして廃棄に至るまで、その全過程において厳重な管理体制が求められます。国際的な監視体制の強化や、核拡散防止条約に基づく平和利用の原則を遵守することで、プルトニウムの平和利用と安全保障の両立を目指していく必要があります。
原子力施設

次世代原子炉:IRISとは

- IRISの概要IRIS(国際革新型安全炉)は、出力規模100~300メガワット級のモジュール型軽水炉として設計された原子炉です。従来の大型原子炉とは異なる建設方法を採用しており、工場であらかじめ主要機器を組み立てたモジュールを建設現場に輸送し、設置します。この方式により、建設期間の短縮とコスト削減を目指しています。まるでレゴブロックのように原子炉を組み立てるようなイメージです。従来の原子炉は、建設現場で多くの作業員が長い期間をかけて建設する必要がありました。一方、IRISは工場でモジュールを効率的に生産し、現場ではその組み立てに集中するため、工期の短縮と人件費の削減が期待できます。また、工場での品質管理が徹底されることで、安全性と信頼性の向上も見込まれます。IRISは、安全性にも配慮した設計がなされています。例えば、受動的安全システムと呼ばれる、電源や人的操作に頼らずに原子炉を安全に停止させるシステムが組み込まれています。これは、万が一の事故時でも、原子炉を安全な状態に保つための重要な機能です。IRISは、モジュール型という特徴を生かして、電力需要の変化に柔軟に対応できるというメリットもあります。将来的に電力需要が増加した場合には、モジュールを追加することで容易に出力増加に対応できます。このように、IRISは、安全性、経済性、柔軟性を兼ね備えた次世代の原子炉として期待されています。