INAA

放射線について

放射化学的中性子放射化分析:高感度分析の立役者

- 放射化分析とは放射化分析は、対象物に放射線(中性子線やガンマ線)を当てることで、その物質を構成する原子核を放射性同位体に変換し、そこから放出される放射線の種類や量を測定することで、物質に含まれる元素の種類や量を調べる方法です。 人間一人一人違う指紋を持っているように、それぞれの元素は特定のエネルギーを持った放射線を放出します。 この性質を利用することで、物質を壊さずに、ごく微量な元素の存在まで確認できるという利点があります。この分析方法は、様々な分野で応用されています。 例えば、大気や水、土壌などに含まれる有害物質の濃度を測定する環境分析の分野では、極めて低い濃度の有害物質であっても検出することが求められます。 放射化分析は、その高い感度から、従来の方法では検出が難しかった微量な有害物質の分析を可能にし、環境汚染の状況把握や対策に役立っています。また、考古学の分野では、出土品の産地や年代を推定するために利用されます。 土壌や水には、地域特有の元素が含まれており、出土品にもわずかにそれらが取り込まれます。 放射化分析によって、出土品に含まれる微量元素を特定することで、その出土品がどこで作られたのか、産地を推定することが可能になります。 このように、放射化分析は、高い感度と非破壊という特徴を生かして、様々な分野で活用されている分析方法と言えるでしょう。