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原子力発電の基礎知識

原子力発電の鍵、同位体とは?

私たちの身の回りにある物質は、建物でも、空気中でも、そして私たち自身も、すべて目には見えない小さな粒子である原子からできています。原子はさらに小さな陽子、中性子、電子という粒子から構成されていて、陽子の数がその原子が何という元素であるかを決める重要な要素となっています。例えば、陽子が1つだけなら水素、8つなら酸素といった具合です。 ところで、同じ元素であっても、原子核の中にある中性子の数が異なる場合があります。これを同位体と呼びます。例えば水素の場合、陽子が1つで中性子を持たない軽水素、陽子が1つと中性子が1つの重水素、さらに陽子が1つと中性子が2つの三重水素(トリチウム)の3種類が存在します。このように、同位体は原子番号、つまり陽子の数は同じですが、質量数、すなわち陽子と中性子の数の合計が異なるのです。 原子力発電で利用されるウランにも、同位体が存在します。ウランは原子番号92番の元素ですが、天然に存在するウランの大部分は質量数238のウラン238で、核分裂を起こしやすいウラン235はわずか0.7%程度しか含まれていません。原子力発電では、このウラン235の割合を増加させた濃縮ウランが燃料として使われています。同位体は、原子力発電において重要な役割を担っているのです。