JPDR

原子力施設

日本の原子力発電の礎を築いたJPDR

1963年10月、日本の科学技術史に新たな1ページが刻まれました。茨城県東海村にある日本原子力研究所、現在の日本原子力研究開発機構の一角で、日本初の発電用原子炉「JPDR」が運転を開始したのです。「動力試験炉」を意味する英語名「Japan Power Demonstration Reactor」の頭文字を取ったこの原子炉は、文字通り日本の原子力発電の夜明けを告げる象徴となりました。 JPDRは、イギリスから導入した技術を基に、国内の企業が総力を挙げて建設しました。出力は1万3000キロワットと、当時の火力発電所と比べると小規模でしたが、日本は原子力の平和利用という新たな道を歩み始めたのです。JPDRの運転開始は、単に電力を生み出す以上の意義を持っていました。それは、資源の乏しい日本にとって、エネルギー自給への道を切り開くという大きな夢を象徴していたのです。 JPDRは、その後の日本の原子力発電技術の礎を築きました。運転データや経験は、その後の国産原子炉の開発に活かされ、日本の原子力発電は大きく発展していくことになります。そして、JPDRは1976年にその役割を終え、現在は原子炉解体技術の開発に貢献する施設として、日本の原子力研究の中心的役割を担っています。