LET効果

放射線について

ラジオマイクロサージャリ:細胞レベルの精密照射

- ラジオマイクロサージャリとはラジオマイクロサージャリは、「重イオンビーム」という特殊な放射線を利用して、細胞の一つ一つをまるで手術をするかのように精密に治療する技術です。重イオンビームは、物質の中をまっすぐに進み、狙った深さに到達した時にだけ、大きなエネルギーを放出するという性質を持っています。この性質を利用することで、従来の手術や放射線治療では届かなかった体の奥深くにある標的、例えばがん細胞だけを狙い撃ちすることが可能になります。従来の放射線治療では、正常な細胞にもダメージを与えてしまうことが課題でしたが、ラジオマイクロサージャリでは、周囲の正常な組織への影響を最小限に抑えながら、がん細胞などの標的のみをピンポイントで破壊することができます。これは、細胞や遺伝子といった非常に小さなレベルでの操作を可能にする、まさに革新的な技術と言えるでしょう。
放射線について

細胞をピンポイントで狙う、シングルイオン細胞照射技術

- シングルイオン細胞照射とは細胞への放射線の影響を調べることは、がん治療や放射線生物学の研究において非常に重要です。従来の放射線照射では、広範囲に放射線が照射されるため、狙った細胞だけに放射線を当てることは困難でした。しかし、近年開発されたシングルイオン細胞照射技術は、細胞内の狙った場所にピンポイントで放射線を当てることを可能にする画期的な技術です。シングルイオン細胞照射では、イオンビームと呼ばれる非常に細い放射線のビームを用います。このイオンビームは、髪の毛の太さの数百分の1という、ミクロン単位の細さにまで絞り込むことができます。このため、細胞核やミトコンドリアなど、細胞内の特定の器官だけを狙って照射することが可能になります。従来の放射線照射では、放射線が細胞のどこに当たるかは偶然に左右され、その影響を正確に評価することが難しいという課題がありました。しかし、シングルイオン細胞照射では、狙った場所に正確に放射線を当てることができるため、放射線が細胞に与える影響をより詳細に調べることが可能になります。この技術によって、放射線が生体に与える影響を分子レベルで解明できるようになると期待されています。また、がん細胞だけを選択的に死滅させる、副作用の少ない新たな放射線治療法の開発にもつながると期待されています。