原子炉の構造:プール型炉について
原子炉と聞いて、多くの人は巨大な発電所を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、原子炉はその目的や規模によって、様々な種類が存在します。発電用の大型原子炉以外にも、医療分野で病気の診断や治療に役立つものや、工業分野で材料の検査などに利用される小型のものなど、私たちの身の回りには多様な原子炉が活躍しています。
中でも、材料の研究や放射性同位体の製造など、幅広い分野で活用されているのが研究用原子炉です。研究用原子炉は、大学や研究機関などに設置され、基礎研究から応用研究まで多岐にわたる研究開発に利用されています。
今回は、数ある研究用原子炉の中でも、特徴的な構造を持つ「プール型炉」について詳しく解説していきます。プール型炉はその名の通り、原子炉の炉心をプールのような水中に沈めた構造が特徴です。水は中性子を減速させる役割と同時に、原子炉から発生する熱を冷却する役割も担います。プール型炉は、構造が比較的単純であるため、建設や運転が容易であるという利点があります。また、炉心が水中に設置されているため、安全性が高いことも大きな特徴です。