PRISM

原子力施設

革新炉PRISM:安全と効率性を両立

原子力発電は、大量のエネルギーを安定して供給できる技術として、将来のエネルギー源の一つとして期待されています。しかし、従来の原子力発電には、事故時の安全性や放射性廃棄物の処理など、解決すべき課題も残されています。これらの課題を克服し、より安全で効率的な原子力発電を実現するため、世界中で次世代原子炉の開発が進められています。 そうした次世代原子炉の一つとして期待を集めているのが、PRISM (Power Reactor Innovative Small Module)です。PRISMは、革新的な設計と高い安全性を兼ね備えた高速炉として注目されています。従来の原子炉とは異なり、PRISMは冷却材に液体金属ナトリウムを使用しています。ナトリウムは熱伝導率が高いため、原子炉を小型化できるだけでなく、より高い温度で運転することが可能です。これにより、発電効率が向上し、より多くのエネルギーを生み出すことができます。また、PRISMは、炉心損傷などの事故が発生した場合でも、自然の力によって冷却できる受動的安全システムを採用しており、安全性にも優れています。 PRISMは、従来の原子力発電が抱える課題を克服し、より安全で高効率なエネルギー供給を実現する可能性を秘めた原子炉として、今後の開発の進展が期待されています。
原子力の安全

原子炉の安全性を高めるGEMとは

原子力発電の安全性をより高めるために、世界中で様々な技術開発が進められています。中でも注目されている技術の一つに、高速炉と呼ばれる原子炉があります。アメリカ合衆国にあるアルゴンヌ国立研究所が開発を進めていたPRISMも、この高速炉の一種です。PRISMは、従来の原子力発電所で広く使われている軽水炉とは異なり、冷却材に水ではなく液体ナトリウムを使用していることが大きな特徴です。 軽水炉では、燃料であるウランを核分裂させて熱エネルギーを取り出す際に、水を使用しています。一方、PRISMのような高速炉では、液体ナトリウムを冷却材として使用します。液体ナトリウムは水に比べて熱を伝える能力が高く、より高い温度で冷却することができます。このため、PRISMは従来の軽水炉よりも高い熱効率で発電することが可能となります。さらに、PRISMは液体ナトリウムの優れた熱伝導特性を活かすことで、原子炉の運転をより安定的に行うことができ、安全性も向上すると期待されています。 PRISMは革新的な原子炉設計として注目されましたが、残念ながら実用化には至っていません。しかしながら、PRISMで培われた高速炉技術は、将来の原子力発電の安全性向上や効率化に貢献する可能性を秘めています。