
SCARABEE:高速炉の安全研究を支える実験炉
フランス南部にあるカダラッシュ研究所に設置されたSCARABEEは、プール型の原子炉です。1982年の運転開始以来、高速中性子炉、とりわけ高速増殖炉の安全性に関する研究において中心的な役割を果たしてきました。高速炉は、将来のエネルギー需要を満たす可能性を秘めた原子炉として期待されています。
SCARABEEは、高速炉の安全性に関する様々な状況を模擬できる実験炉です。例えば、炉心冷却材の喪失や炉心内の出力分布の異常など、高速炉特有の事象を模擬した実験を行うことができます。これらの実験を通して、高速炉の安全性を向上させるための貴重なデータを取得してきました。
フランスは、長年にわたり高速炉の開発と研究に力を入れてきました。SCARABEEはその中心的な役割を担っており、そこで得られた研究成果は、次世代の高速炉の設計や安全基準の策定に大きく貢献しています。SCARABEEは、フランスのみならず、世界の高速炉の安全研究をリードする重要な施設といえるでしょう。