TLD

放射線について

放射線を見守る光:TLDの仕組み

- 熱ルミネセンス線量計(TLD)とは? 私たちの身の回りには、目には見えないけれど、微量の放射線が常に飛び交っています。太陽や宇宙から降り注ぐ自然放射線や、レントゲン検査などで利用される人工放射線など、様々な放射線が私たちの生活空間には存在しています。 これらの放射線は、大量に浴びると人体に悪影響を及ぼす可能性がありますが、微量であれば通常は問題ありません。しかし、医療現場や原子力施設、研究機関など、放射線を扱う職場では、作業者や周囲の環境を守るために、日頃から厳重に放射線量を管理する必要があります。そこで活躍するのが、熱ルミネセンス線量計(TLD)です。 TLDは、物質に照射された放射線の量を蓄積し、後から加熱することで、蓄積された線量に比例した光として放出する現象を利用して、放射線量を測定する装置です。 小型で軽量、かつ電源を必要としないため、個人が身につけて作業中の被ばく線量を測定する個人線量計として広く利用されています。また、環境放射線の測定など、様々な分野でも活用されています。
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電源不要で活躍する宇宙の計測器

- 計測器の種類原子力分野において、目に見えない粒子線を捉え、その特性を調べることは非常に重要です。そのために用いられるのが放射線計測器ですが、大きく分けて二つの種類に分類されます。一つは「アクティブ型」と呼ばれるもので、これは外部から電力を供給する必要があるという特徴があります。電力を用いることで、微弱な信号を増幅したり、複雑な処理を行ったりすることが可能となり、高感度かつ多様な情報を取得することができます。しかし、その反面、電源の確保が必須となるため、利用場所が限られるという側面も持ち合わせています。もう一つは「パッシブ型」と呼ばれるもので、こちらは外部からの電力供給を必要としません。粒子線が計測器自身に及ぼす物理的・化学的な変化を記録することで、間接的に粒子線の情報を得ます。外部からの電力供給が不要なため、電源の確保が難しい場所、例えば宇宙空間や深海などでの利用に適しています。しかし、アクティブ型と比較すると、一般的に感度が低く、得られる情報も限られるという側面があります。このように、アクティブ型とパッシブ型はそれぞれに特徴があり、測定の目的や環境に応じて使い分けられています。
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放射線業務の心強い味方:リングバッジ

- リングバッジとは リングバッジは、放射線業務に従事する人が身につける、被ばく線量を測定するための装置です。指輪のように指に装着することから、その名が付けられています。 放射線は、目に見えず、臭いもしないため、どれくらい浴びているかを把握することは容易ではありません。しかし、過剰に浴びると健康に影響を及ぼす可能性があるため、放射線業務に従事する人にとっては、自身の被ばく線量を把握することが非常に重要になります。 リングバッジは、特にエックス線透視やアイソトープを扱う業務などで活躍します。これらの業務では、身体の他の部分よりも手に受ける放射線量が非常に多くなる可能性があります。リングバッジを指に装着することで、身体の中でも特に被ばくしやすい指先に集中的に浴びる放射線の量を正確に把握することができます。 リングバッジは、放射線作業に従事する人の安全を守る上で欠かせないものと言えるでしょう。
放射線について

熱蛍光線量計:放射線を見守る頼もしい目

- 熱蛍光線量計とは熱蛍光線量計は、物質がある種の光を放つ性質を利用して、目に見えない放射線の量を測る装置です。 物質に放射線が当たると、物質はそのエネルギーを吸収して不安定な状態になります。この不安定な状態から安定な状態に戻ろうとする際に、物質はエネルギーを光として放出します。この現象を熱蛍光と呼びます。 熱蛍光線量計には、この熱蛍光現象を示す特別な結晶が使われています。放射線を浴びた結晶は、その量に応じて光を蓄積します。後からこの結晶を加熱すると、蓄積された光が放出されます。放出される光の強さは、浴びた放射線の量に比例するため、これを測定することで放射線の量を知ることができます。 熱蛍光線量計は、小型で持ち運びやすく、電源を必要としないため、様々な場所で手軽に放射線量を測定できるという利点があります。そのため、医療現場での放射線治療や、原子力発電所など、様々な分野で広く活用されています。