TMI-2事故

原子力の安全

安全性を追求した原子炉:固有安全炉

- 事故から生まれた革新原子力発電は、多くのエネルギーを生み出すことができ、地球温暖化対策としても期待されています。しかし、その安全性を心配する声も根強くあります。特に、1972年にアメリカで起きたTMI-2原子力発電所の事故は、原子力発電に対する信頼を大きく損なうものでした。この事故をきっかけに、原子炉の安全性を根本から見直す動きが世界中で高まりました。そして、事故が起こる可能性を極限まで減らすことを目指して開発されたのが、「固有安全炉」と呼ばれる新しいタイプの原子炉です。 従来の原子炉では、事故を防ぐために、ポンプや冷却装置など、様々な機器や人間の操作に頼っていました。しかし、固有安全炉では、自然の法則を利用して、事故を未然に防ぐ仕組みが取り入れられています。例えば、炉心の温度が高くなりすぎると、自動的に核分裂反応が停止するような設計になっています。また、冷却材を循環させるポンプも、電気を使わずに自然の力で動くようになっています。このように、固有安全炉は、人間のミスや機械の故障が起こったとしても、大きな事故につながる可能性を大幅に減らすことができるのです。 TMI-2事故は、原子力発電にとって大きな悲劇でした。しかし、この事故から得られた教訓は、より安全な原子炉の開発へとつながりました。固有安全炉は、原子力発電の未来を担う技術として、世界中で注目されています。
原子力施設

原子力発電の要:原子炉格納容器の役割とは

原子力発電所の中心で熱とエネルギーを生み出す原子炉。その原子炉を包み込むようにしてそびえ立つ巨大な構造物、それが原子炉格納容器です。原子炉格納容器は、原子力発電所の安全性を確保する上で、最後の砦となる重要な役割を担っています。 原子炉格納容器は、万が一、原子炉で事故が発生した場合に備え、放射性物質が外部に漏れ出すのを防ぐための堅牢なバリアとして機能します。厚さ1メートルを超える強靭な鋼鉄製の壁と、その内側に張り巡らされた気密性の高いライニング材によって、放射性物質の拡散を徹底的に抑制します。 原子炉格納容器は、その頑丈な構造に加えて、事故発生時の圧力や温度の上昇にも耐えられるように設計されています。仮に原子炉内で蒸気爆発などが起こったとしても、格納容器は内圧や衝撃に耐え、放射性物質の放出を防ぎます。さらに、格納容器内は常に負圧に保たれており、万が一、微量の放射性物質が漏洩した場合でも、外部への拡散を防ぐ仕組みになっています。 原子炉格納容器は、まさに原子力発電所の安全を守る最後の砦といえるでしょう。