
原子力安全の基礎:臨界管理とは?
原子力発電所や核燃料を扱う施設において、安全の確保は最も重要なことです。安全を確保するために、「臨界管理」は決して欠かすことのできない重要な役割を担っています。
臨界とは、核分裂の連鎖反応が持続する状態を指します。ウランやプルトニウムなどの核燃料物質は、中性子を吸収すると核分裂を起こし、さらに中性子を放出します。この現象が繰り返されることで、連鎖的に核分裂反応が継続されます。
臨界管理とは、この核分裂の連鎖反応を常に制御下に置き、安全な範囲内にとどめるための取り組みです。具体的には、核燃料物質の量や濃度、形状などを調整することや、中性子を吸収する制御棒を挿入することで、核分裂反応の速度を制御します。
臨界管理が適切に行われない場合、意図せずに核分裂の連鎖反応が制御不能となる「臨界事故」に繋がる可能性があります。臨界事故では、莫大なエネルギーが放出され、作業員や周辺住民への放射線被ばく、施設の破壊など、深刻な被害をもたらす危険性があります。
原子力施設では、このような事態を避けるため、厳重な管理体制のもと、多重の安全対策を講じています。日々の運転操作や保守点検、そして従業員に対する教育訓練などを通して、臨界管理の徹底に日々取り組んでいます。