TRIGA

原子力施設

研究と応用を支えるトリガ炉

- トリガ炉とはトリガ炉は、TrainingResearchIsotopeProductionGeneralAtomicの頭文字をとったもので、アメリカ合衆国のGA社によって開発された原子力炉です。その名の通り、大学や研究機関において、原子力の基礎研究や学生の教育訓練、そして医療分野で利用される放射性同位元素の製造などを主な目的としています。トリガ炉最大の特徴は、炉心が円環状に配置され、その中心部に大きな実験孔が設けられている点です。従来型の原子炉と比較して、この特殊な構造には、いくつかの利点があります。まず、炉中心部の実験孔に試料を挿入することで、より強い中性子線を照射できるため、効率的に放射性同位元素を製造することができます。また、中性子線を効率的に利用できることから、材料の分析や放射線による影響を調べる研究にも適しています。さらに、トリガ炉は独自の安全機構を備えていることも大きな特徴です。万が一、炉出力が急上昇した場合でも、燃料自体が持つ特性によって自動的に出力が抑制されるため、炉心溶融などの重大事故につながるリスクが極めて低いと言われています。このように、トリガ炉は高い安全性と汎用性を兼ね備えた原子炉として、世界中の大学や研究機関で幅広く活用されています。
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原子炉の構造:プール型炉について

原子炉と聞いて、多くの人は巨大な発電所を思い浮かべるかもしれません。しかし実際には、原子炉はその目的や規模によって、様々な種類が存在します。発電用の大型原子炉以外にも、医療分野で病気の診断や治療に役立つものや、工業分野で材料の検査などに利用される小型のものなど、私たちの身の回りには多様な原子炉が活躍しています。 中でも、材料の研究や放射性同位体の製造など、幅広い分野で活用されているのが研究用原子炉です。研究用原子炉は、大学や研究機関などに設置され、基礎研究から応用研究まで多岐にわたる研究開発に利用されています。 今回は、数ある研究用原子炉の中でも、特徴的な構造を持つ「プール型炉」について詳しく解説していきます。プール型炉はその名の通り、原子炉の炉心をプールのような水中に沈めた構造が特徴です。水は中性子を減速させる役割と同時に、原子炉から発生する熱を冷却する役割も担います。プール型炉は、構造が比較的単純であるため、建設や運転が容易であるという利点があります。また、炉心が水中に設置されているため、安全性が高いことも大きな特徴です。