
原子力発電とEU:濃縮ウランと欧州連合
原子力発電所を動かすためには、燃料となるウランが必要です。しかし、地球上で採掘されるウランは、そのままでは発電に使うことができません。それは、天然ウランの中に発電に利用できるウラン235がわずか0.7%しか含まれていないためです。残りの大部分はウラン238という種類で、これは発電には適していません。
そこで、ウラン235の割合を人工的に高めることで、より効率的にエネルギーを生み出せるようにしたものが「濃縮ウラン」です。
濃縮ウランを作るには、まず天然ウランから不純物を取り除き、ウラン235とウラン238を分離する必要があります。この工程は、ウラン235とウラン238のわずかな重さの差を利用した遠心分離法という方法が主流です。遠心分離機と呼ばれる装置の中で高速回転させることで、重いウラン238と軽いウラン235を少しずつ分離していくことができます。
この分離と濃縮のプロセスは非常に高度な技術と大規模な設備を必要とするため、世界でも限られた国でしか行われていません。濃縮ウランは原子力発電の燃料として重要なだけでなく、軍事転用される可能性もあるため、その製造や取り扱いには国際的な監視体制が敷かれています。