X線診断

放射線について

意外と知られていない?10日規則とその背景

- 10日規則とは?妊娠の可能性がある女性のお腹にエックス線検査を行う際、医師や放射線技師は胎児への被ばくを最小限に抑えることを常に考えています。このような状況で、かつては「10日規則」と呼ばれる規則が用いられていました。この規則は、女性の月経開始日から10日以内であれば、お腹へのエックス線検査を行っても胎児への影響はほとんどないという考えに基づいていました。この時期は、まだ妊娠が成立していない、あるいは妊娠していたとしても胎児の細胞分裂が非常に初期段階であるため、放射線の影響を受けにくいと考えられていたのです。しかし、近年の研究や技術の進歩によって、放射線に対する考え方は変化しました。微量の放射線でも、胎児に影響を与える可能性がゼロではないという認識が広まり、国際放射線防護委員会(ICRP)は2007年に10日規則の廃止を勧告しました。現在では、10日規則に代わって、「妊娠している可能性がある場合は、必ず医師や放射線技師に伝える」ことが重要視されています。医療従事者は、患者さんの状況を詳しく把握した上で、検査の必要性とリスク、そして代替となる検査方法などを検討し、患者さんと一緒に最善の方法を決定します。