
医療と放射線:医療被ばくについて
医療の現場では、放射線は診断や治療など、様々な用途で利用されています。レントゲン撮影は、骨の状態を把握するために用いられる、私たちにとって最も身近な放射線利用の一つと言えるでしょう。レントゲン撮影では、X線と呼ばれる放射線が身体を透過する際に、骨などの組織によって吸収率が異なることを利用して画像化を行います。
近年では、X線を用いた検査として、コンピューター断層撮影、いわゆるCT検査も広く普及しています。CT検査では、身体の周囲を回転する装置からX線を照射し、得られたデータをコンピューターで処理することで、身体の断面画像を詳細に得ることができます。これにより、臓器や血管などの状態をより正確に把握することが可能となり、病気の早期発見や診断の精度向上に大きく貢献しています。
放射線は、診断だけでなく、がん治療などの治療においても重要な役割を担っています。放射線治療では、がん細胞に放射線を照射することで、細胞のDNAを損傷し、増殖を抑制したり、死滅させたりします。放射線治療は、手術、抗がん剤治療と並ぶ、がん治療の三大療法の一つとして確立されており、多くの患者に福音をもたらしています。このように、放射線は医療において欠かせない技術として、人々の健康と生命を守るために役立てられています。