JISCARD:航空機利用時の宇宙線被ばく量を知る

JISCARD:航空機利用時の宇宙線被ばく量を知る

電力を見直したい

『JISCARD』って、どんなものですか?

電力の研究家

『JISCARD』は「航路線量計算システム」のことで、飛行機に乗った時に受ける宇宙放射線の量を計算してくれるインターネットツールのことだよ。

電力を見直したい

へえー、飛行機に乗ると宇宙放射線を浴びるんですか?

電力の研究家

そうなんだ。地上よりも空の上の方が宇宙放射線が強いから、飛行機に乗ると、私達が普段浴びている量よりも多く浴びてしまうんだ。特に、パイロットや客室乗務員のように頻繁に飛行機に乗る人は影響が心配されているんだよ。

JISCARDとは。

「航路線量計算システム」は、国際線の飛行機に乗ったときに浴びる宇宙からの放射線の量を計算して表示してくれるインターネットの道具です。これは、放射線の影響について研究している機関が開発し、2005年9月16日から誰でも使えるようになっています。

飛行機に乗っている間は、地上で普段浴びている自然の放射線よりも強い宇宙の放射線を浴びることになります。そのため、飛行機の操縦士や客室乗務員など、頻繁に飛行機に乗る仕事をしている人たちは、宇宙の放射線による健康への影響が心配されています。

このシステムでは、画面に表示された世界地図の上で出発する空港と到着する都市を選ぶと、例えば、成田空港からニューヨークだと81μSv(マイクロシーベルト)、成田空港からサンパウロだと112μSv、関西空港からソウルだと5μSvなど、それぞれの飛行で宇宙の放射線を浴びると予想される量がすぐに画面に表示されます。この計算は、アメリカの航空局が開発・提供している計算方法を使って行われています。

空の旅と目に見えない放射線

空の旅と目に見えない放射線

私たちが毎日暮らす大地からは、自然放射線と呼ばれるごく微量の放射線が常に出ています。これは自然現象であり、私たち人間を含めた生物は、この微量の放射線とともに進化を遂げてきました

しかし、飛行機に乗って空高く上昇すると、地上とは異なる種類の放射線、宇宙放射線を浴びることになります。宇宙放射線は、太陽や銀河系外の遥か彼方からやってくる高エネルギーの粒子で、地上に届くまでに大気の層によって遮られます。しかし、飛行機が飛行する高度1万メートル付近では、地上に比べて大気の層が薄くなっているため、宇宙放射線を遮る効果が弱まります。そのため、飛行機に乗っている間は、地上よりも多くの宇宙放射線を浴びることになります。

とはいえ、航空機による旅行で浴びる宇宙放射線の量はごくわずかであり、健康に影響を与える心配はありません。一回の旅行で浴びる放射線量は、胸部レントゲン撮影の数分の1程度といわれています。ただし、頻繁に飛行機を利用する人や、妊婦の方などは、浴びる放射線量が多くなる可能性があるため、少し注意が必要です。具体的には、航空会社に問い合わせて、飛行ルートや高度、飛行時間などを考慮した上で、より放射線量の少ない便を選ぶなどの対策が考えられます。

項目 内容
自然放射線 – 日常生活で常に浴びている微量の放射線
– 生物進化に影響を与えてきた
宇宙放射線 – 太陽や銀河系外からくる高エネルギー粒子
– 大気の層が薄い高高度では、地上より多く浴びる
飛行機搭乗と放射線 – 一回の搭乗では微量で健康への影響は少ない
– 頻繁に利用する人や妊婦は注意が必要
– 放射線量の少ない便を選ぶなどの対策が可能

JISCARDで航路線量を計算

JISCARDで航路線量を計算

近年、海外旅行の人気が高まる一方で、航空機を利用する際に浴びる宇宙放射線への関心も高まっています。高度1万メートルの上空では、地上に比べて宇宙放射線の量が格段に多くなるためです。

そこで活用したいのが、「JISCARD(ジスカード)」と呼ばれる航路線量計算システムです。これは、文部科学省が提供するインターネット上で無料で利用できるツールです。JISCARDを使うことで、誰でも簡単に航空機利用に伴う宇宙放射線被ばく量の計算を行うことができます。

使い方は非常に簡単です。JISCARDのウェブサイトにアクセスし、表示された世界地図から出発空港と到着都市をクリックするだけです。すると、その飛行ルートにおける推定被ばく線量が、マイクロシーベルト(μSv)という単位で瞬時に表示されます。例えば、成田空港からニューヨークへの飛行では約81μSv、成田空港からサンパウロへの飛行では約112μSv、関西空港からソウルへの飛行では約5μSvといった具合に、具体的な数値で確認することができます。

JISCARDは、旅行の計画を立てる際や、宇宙放射線被ばく量に関心のある方にとって非常に役立つツールと言えるでしょう。

出発空港 到着都市 推定被ばく線量
成田空港 ニューヨーク 約81μSv
成田空港 サンパウロ 約112μSv
関西空港 ソウル 約5μSv

誰でも利用できる便利なシステム

誰でも利用できる便利なシステム

近年、海外旅行や出張など、航空機を利用する機会が増えてきました。飛行機に乗るということは、地上よりも多くの放射線を浴びることを意味します。しかし、どれくらいの線量を浴びるのか、具体的に知る人は少ないのではないでしょうか。

そこでご紹介したいのが、放射線医学総合研究所が開発した「JISCARD」です。JISCARDは、誰でも無料で利用できる、航空機による宇宙放射線被ばく線量計算システムです。2005年から公開されており、多くの利用者に役立てられています。

JISCARDは、出発地と目的地、日時を入力するだけで、簡単に被ばく線量を計算することができます。旅行の計画や出張の準備など、様々な場面で活用できる便利なシステムです。

航空機を利用する機会が多い方はもちろんのこと、宇宙放射線被ばくについて関心のある方は、ぜひ一度JISCARDを試してみてはいかがでしょうか。JISCARDを利用することで、宇宙放射線被ばくについて、より深く理解することができます。

サービス名 開発元 機能 特徴 対象ユーザー
JISCARD 放射線医学総合研究所 航空機による宇宙放射線被ばく線量計算 誰でも無料で利用可能、出発地・目的地・日時を入力するだけで計算可能 航空機利用者、宇宙放射線被ばくに関心のある人

宇宙放射線被ばくのリスク

宇宙放射線被ばくのリスク

私たちは日常生活を送る中で、微量の放射線を常に浴びています。地面や建物などから出ている自然放射線と、レントゲン検査など医療に使われる人工放射線です。そして、高度が高い場所では、宇宙から降り注ぐ宇宙放射線を多く浴びます。航空機に乗ると、この宇宙放射線の影響をより多く受けることになります。

飛行機に一度乗っただけであれば、浴びる宇宙放射線の量はごくわずかであり、健康への影響はほとんどありません。しかし、パイロットや客室乗務員のように、仕事で頻繁に飛行機に乗る人は、生涯を通じて浴びる宇宙放射線の量が積み重なり、健康に影響が出る可能性も懸念されています。

そこで、航空機による宇宙放射線被ばくについて、個人がより深く理解し、健康リスクを意識することが重要になります。航空機による宇宙放射線被ばく量は、日本宇宙航空研究開発機構(JAXA)が提供している「宇宙線被ばく線量計算サービス(JISCARD)」で簡単に計算することができます。JISCARDを利用することで、自分の搭乗するフライトでの宇宙放射線被ばく量を把握することができ、健康リスクをより具体的に認識することができます。

放射線の種類 発生源 特徴
自然放射線 地面、建物など 日常生活で常に浴びる
人工放射線 レントゲン検査など 医療などで利用される
宇宙放射線 宇宙 高度が高い場所ほど多く浴びる、航空機搭乗で被曝量増加

JISCARDの信頼性

JISCARDの信頼性

– JISCARDの信頼性JISCARDは、航空機利用者の被ばく線量を評価するために用いられるシステムであり、その計算の信頼性が重要な課題となっています。JISCARDでは、米国連邦航空局(FAA)が開発したCARI-6コードと呼ばれる計算式が採用されています。このCARI-6コードは、宇宙空間における放射線環境を精密にモデル化し、高度、緯度、経路、日時などの飛行条件を考慮した上で、被ばく線量を高い精度で計算することができます。CARI-6コードは、国際的な専門機関による検証や比較研究を通して、その信頼性と精度が広く認められてきました。また、実際に航空機に搭載された測定器による実測データとの比較からも、CARI-6コードを用いた計算結果の正確性が確認されています。JISCARDは、このような国際的に認められた高精度な計算式を用いることによって、航空機利用者の被ばく線量をより正確に評価し、健康と安全を守るための重要な役割を果たしています。航空業界では、JISCARDの計算結果に基づいて、乗務員の勤務時間調整や、妊婦の搭乗に関する情報提供など、様々な安全対策が実施されています。

項目 内容
システム名 JISCARD
用途 航空機利用者の被ばく線量評価
計算式 CARI-6コード(米国連邦航空局(FAA)開発)
CARI-6コードの特徴 – 宇宙空間における放射線環境を精密にモデル化
– 高度、緯度、経路、日時などの飛行条件を考慮した高精度な計算
信頼性と精度の裏付け – 国際的な専門機関による検証と比較研究
– 実際に航空機に搭載された測定器による実測データとの比較
JISCARDの役割 – 航空機利用者の被ばく線量をより正確に評価
– 健康と安全を守るための重要な役割
航空業界における活用例 – 乗務員の勤務時間調整
– 妊婦の搭乗に関する情報提供