体内からがん細胞を狙い撃ち：組織内照射とは？

体内からがん細胞を狙い撃ち：組織内照射とは？

組織内照射とは

– 組織内照射とは組織内照射は、体内に発生したがん細胞を、放射線を用いて直接攻撃する治療法です。外科手術のように患部を切除するのではなく、小さな放射線源を針や細い線状のもの（ワイヤー）などを使って、がん組織に直接送り込みます。この治療法の最大の利点は、がん細胞だけにピンポイントで高い放射線を照射できることです。そのため、周囲にある正常な細胞への影響を抑えながら、効果的にがん細胞を破壊することができます。従来の外部から放射線を当てる治療法と比べて、治療期間が短く、身体への負担が少ないというメリットもあります。また、治療後も比較的早く日常生活に戻ることが期待できます。組織内照射は、前立腺がん、子宮頸がんなど、様々な種類のがん治療に用いられています。ただし、がんの種類や進行度、患者の状態などによって、治療の効果やリスクは異なります。治療を受けるかどうかは、医師とよく相談し、自身の状況に最適な治療法を選択することが重要です。

組織内照射の特徴

– 組織内照射の特徴組織内照射は、放射線源を体内に直接送り込み、がん細胞などの標的に対して集中的に放射線を照射する治療法です。この治療法の大きな特徴は、放射線源が体内に留置される期間によって、大きく二つの方法に分けられる点です。一つは、短期間だけ放射線源を体内に留置する方法で、「高線量率組織内照射」と呼ばれています。この方法では、一度に数分から数十分程度の短い時間で放射線を照射します。そして、これを数日から数週間かけて複数回繰り返すことで、十分な治療効果を得ます。高線量率組織内照射は、主に子宮頸がんや肺がんなど、体の比較的浅い部分にあるがんの治療に用いられます。もう一つは、長期間にわたって放射線源を体内に留置する方法で、「低線量率組織内照射」と呼ばれています。この方法では、放射線源を数日間体内に留置したまま、持続的に放射線を照射します。低線量率組織内照射は、前立腺がんなど、体の深部にあるがんの治療に用いられます。このように、組織内照射は放射線源の留置期間によって異なる方法があり、それぞれの特徴を活かして様々な種類のがんの治療に用いられています。

組織内照射で用いられる放射線源

組織内照射は、放射線を出す小さな線源をがん組織の内部に直接留置することで、がん細胞に集中的に放射線を照射する治療法です。この治療法では、がんの種類や患部の状態に合わせて最適な放射性同位元素が線源として選ばれます。代表的な放射性同位元素としては、ラジウム226、セシウム137、コバルト60、イリジウム192、金198、ヨウ素125などが挙げられます。それぞれが放出する放射線の種類やエネルギー、そしてその物質が放射線を出し続ける期間を示す半減期はそれぞれ異なっています。

例えば、コバルト60は強力なガンマ線を放出し、深部の腫瘍の治療に用いられますが、半減期が約5年と長いため、体内埋め込み型の線源としてはあまり適していません。一方、イリジウム192はガンマ線を放出し、半減期は約74日と比較的短いため、組織内照射に適しています。また、イリジウム192は針やワイヤー、リボン状に加工しやすいという特徴も持ち合わせています。そのため、前立腺がんや子宮頸がんなど、様々な形状のがんの治療に柔軟に対応できます。このように、組織内照射に用いる放射線源は、治療効果や安全性、患者の負担などを考慮して慎重に選択されます。

組織内照射のメリット

– 組織内照射の利点組織内照射は、がん治療において注目されている放射線療法の一つです。この治療法は、放射性物質を封入した小さなカプセルや線源を、腫瘍に直接または近接して留置することで、ピンポイントでがん細胞に放射線を照射します。従来の外部照射と比較して、組織内照射には多くの利点があります。まず、最も大きな利点は、治療効果の高さです。組織内照射では、がん細胞に近接した場所から集中的に放射線を照射するため、高い線量をピンポイントで照射し、がん細胞を効果的に死滅させることができます。次に、副作用の軽減も大きな利点として挙げられます。組織内照射では、放射線の到達範囲が限定されるため、周囲の正常な組織への影響を最小限に抑えることができます。これは、副作用の軽減、患者の体への負担軽減に大きく貢献します。また、治療期間の短縮もメリットです。組織内照射は、治療期間が短く、入院期間も短縮できる傾向があります。これは、患者の体力的、精神的負担の軽減につながり、より快適な治療生活を送ることを可能にします。さらに、治療後の社会復帰が早いことも利点として挙げられます。治療期間の短縮は、患者が一日も早く日常生活を取り戻すことを可能にします。組織内照射は、これらの利点から、がん治療において重要な役割を果たすと期待されています。治療の選択にあたっては、医師とよく相談し、自身の病状やライフスタイルに最適な治療法を選択することが重要です。

組織内照射の対象となるがん

組織内照射は、放射性物質を封入した小さな線源を、がん病巣の近くに直接留置して行う治療法です。従来から、子宮頸がんや前立腺がん、乳がんなどに対して広く行われてきました。線源をがんに近接させることで、がん細胞へ集中的に放射線を照射できるため、周辺の正常組織への影響を抑えつつ、高い治療効果が期待できます。
近年、医療技術の進歩に伴い、組織内照射はさらに適用範囲を広げています。従来は外科手術が困難とされてきた食道がんや肺がん、あるいは頭頸部がんといった部位においても、組織内照射が治療の選択肢の一つとして検討されるようになっています。これは、内視鏡や画像誘導技術の発展により、従来は留置が困難であった体の深部にあるがんに対しても、安全かつ正確に線源を配置することが可能になったためです。このように、組織内照射は、がんの種類や進行度、患者の状態に合わせて選択される、重要な治療法となっています。