
クルックス管:物質の第四の状態を探る
- クルックス管とはクルックス管は、19世紀後半にイギリスの科学者ウィリアム・クルックスによって発明された、真空放電の実験などに使われた装置です。クルックス管内は、ほぼ真空という特殊な状態に保たれています。これは、私たちが普段生活している環境の空気の圧力と比べて、約10万分の1という、ごくわずかな圧力しかありません。クルックスはこの真空状態の中で電気を流すとどうなるかを調べるために、クルックス管を開発しました。クルックス管には、電気を流すための電極が両端に設置されています。片方の電極から電子が飛び出し、もう片方の電極に向かって進みます。このとき、電子が飛んでいる空間にほんの少しだけ残った気体の分子とぶつかると、光を放つという現象が観察されます。この現象を真空放電と呼びます。さらに、クルックス管の内部には、蛍光物質が塗布されているものが多くあります。蛍光物質は、目に見えない電子が当たると、私たちの目で確認できる光に変換する性質を持っています。クルックス管に蛍光物質を塗布することで、目に見えない電子の動きを間接的に観察することができるようになりました。クルックス管の発明は、その後、テレビのブラウン管や蛍光灯など、私たちの生活に欠かせない様々な技術に応用されることになりました。