高レベル放射性廃棄物:NUMOの役割

高レベル放射性廃棄物:NUMOの役割

電力を見直したい

先生、「NUMO」って何ですか? 原子力発電で何か関係ある言葉みたいなのですが…

電力の研究家

よくぞ聞いてくれました! 「NUMO」は、原子力発電で出る、危険なゴミを安全に処理してくれる組織の名前なんだよ。正式には「原子力機構」って言うんだけどね。

電力を見直したい

危険なゴミというと…放射能で汚染されたゴミのことですか?

電力の研究家

そう! 正確には「高レベル放射性廃棄物」と言って、長い年月をかけて放射能が弱くなるまで、地下深くの安全な場所に保管する必要があるんだ。NUMOはそのための場所を探したり、施設を作ったりするんだよ。

NUMOとは。

「原子力発電で使われた燃料から出る強い放射線を持つごみは、長い間危険なため、人々の生活に影響が出ないように、地下深くの安全な場所にしっかりと閉じ込めておく必要があります。これを地層処分といいます。(図参照)

この地層処分を行うための組織として、2000年10月に『原子力発電環境整備機構』が設立されました。この組織は、略して『原環機構』または『ニューモ』と呼ばれています。

原環機構の仕事は、地層処分を行う場所を決めること、処分場を作ること、管理すること、処分を始めること、処分場を閉鎖すること、閉鎖後も管理することなどです。

処分場になる場所を決めるには、3つの段階があります。(1) まず、全国から候補となる場所を募集し、集まった資料を元に、おおよその調査を行う場所を選びます。(2) 次に、選ばれた場所を実際に掘削するなどして詳しく調べ、より絞り込みを行います。(3) 最後に、地下に施設を作って更に詳しく調べ、最終的に処分場となる場所を決めます。地下に施設を作る調査は、2030年代後半頃に始まる予定です。

そして、実際に地層処分を始めるのは、2040年代後半になる予定です。

NUMOとは

NUMOとは

– NUMOとはNUMOは、「原子力発電環境整備機構」の略称で、英語では「Nuclear Waste Management Organization of Japan」となります。2000年10月に設立された組織です。NUMOは、原子力発電に伴い発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分を、安全かつ確実に実施することを使命としています。

原子力発電所からは、使用済み燃料と呼ばれる、まだ核分裂可能な物質を含む燃料が排出されます。この使用済み燃料を再処理することにより、プルトニウムとウランを回収し、再び燃料として利用することができます。しかし、再処理を行う過程で、高レベル放射性廃棄物と呼ばれる、非常に強い放射能を持つ廃液が発生します。

この高レベル放射性廃棄物は、ガラスと混ぜ合わせて固化処理を施した後、ステンレス製の容器に封入されます。そして、最終的には地下深くの安定した岩盤の中に作られた処分施設で、10万年という非常に長い期間にわたって安全に保管されることになります。

NUMOは、この最終処分地の選定から、施設の建設、そして操業、管理までの一連の業務を、透明性を確保しながら、国民の理解と協力を得ながら進めていく役割を担っています。

項目 詳細
NUMOとは
  • 原子力発電環境整備機構(Nuclear Waste Management Organization of Japan)
  • 2000年10月設立
  • 高レベル放射性廃棄物の最終処分を安全かつ確実に実施することを使命とする
高レベル放射性廃棄物とは
  • 使用済み燃料の再処理過程で発生する、非常に強い放射能を持つ廃液
  • ガラスと混ぜ合わせて固化処理した後、ステンレス製の容器に封入
  • 地下深くの安定した岩盤の中に作られた処分施設で、10万年という非常に長い期間にわたって安全に保管
NUMOの役割 最終処分地の選定から、施設の建設、そして操業、管理までの一連の業務を、透明性を確保しながら、国民の理解と協力を得ながら進めていく

高レベル放射性廃棄物と地層処分

高レベル放射性廃棄物と地層処分

高レベル放射性廃棄物と地層処分

高レベル放射性廃棄物と地層処分

原子力発電所では、電気を作り出すためにウラン燃料が使われています。燃料を使い終わった後も、ウランやプルトニウムといった放射性物質が含まれており、これらは高い放射線を出すため、「高レベル放射性廃棄物」と呼ばれています。

高レベル放射性廃棄物は、長い年月をかけて放射線のレベルが下がっていきます。そのため、人や環境への影響を最小限にするために、安全な方法で保管する必要があります。その方法の一つが、地下深くの地層に埋める「地層処分」です。

地層処分では、まず高レベル放射性廃棄物をガラスと混ぜて固め、金属製の容器に入れます。そして、地下数百メートルより深い場所にある、安定した岩盤地層に複数のバリアを設けて処分します。

このように、地層処分は高レベル放射性廃棄物を安全に隔離し、人や環境を守ることができる処分方法です。

用語 説明
高レベル放射性廃棄物 原子力発電所の使用済み燃料に含まれる、ウランやプルトニウムといった高い放射線を出す物質。
地層処分 高レベル放射性廃棄物を、地下深くの安定した岩盤地層に複数のバリアを設けて処分する方法。
処分の手順 高レベル放射性廃棄物をガラスと混ぜて固め、金属製の容器に入れた後、地下数百メートルより深い場所にある、安定した岩盤地層に複数のバリアを設けて処分する。

NUMOの主な業務

NUMOの主な業務

– NUMOの主な業務NUMO(原子力発電環境整備機構)は、原子力発電によって発生する高レベル放射性廃棄物の最終処分を安全かつ確実に実施するために設立された組織です。その役割は多岐に渡り、最終処分事業全体を統括する責任を担っています。NUMOの主な業務は、大きく分けて以下の3つに分類されます。まず、第一に、最終処分施設の建設に適した場所を選定することです。これは、地層の安定性や地下水の流れなどを詳細に調査し、数万年以上にわたって安全性を確保できる場所を見つけ出す、極めて重要な業務です。選定プロセスは、文献調査や航空写真判読による一次評価、より詳細な地質環境調査による二次評価、そして最終的な精密調査による三次評価を経て、慎重に進められます。第二に、選定された場所に、安全かつ確実に廃棄物を処分するための施設を建設することです。これは、最新の科学技術を駆使し、廃棄物を封じ込める人工バリアと、自然の地層による天然バリアを組み合わせた多重防護システムを構築する、高度な技術力が必要とされる業務です。建設にあたっては、周辺環境への影響を最小限に抑えるよう、最大限の配慮が払われます。そして第三に、最終処分が完了した後も、施設の閉鎖と長期にわたる管理を実施することです。これは、施設の安全性を長期にわたって維持し、将来世代に負担を先送りしないという、NUMOの重要な責務の一つです。具体的には、施設の監視や維持管理、周辺環境への影響調査などを、責任を持って継続的に行います。NUMOは、これらの業務を適切に遂行することで、高レベル放射性廃棄物の最終処分を安全かつ確実に実現し、将来世代にわたって、人と環境を守り続けることを目指しています。

業務内容 詳細
最終処分施設の場所選定
  • 数万年以上の安全性を確保できる場所を選定
  • 文献調査、航空写真判読、地質環境調査、精密調査などを実施
最終処分施設の建設
  • 安全かつ確実に廃棄物を処分するための施設を建設
  • 人工バリアと天然バリアを組み合わせた多重防護システム
  • 周辺環境への影響を最小限に抑える
施設の閉鎖と長期管理
  • 施設の安全性を長期にわたって維持
  • 施設の監視や維持管理、周辺環境への影響調査

処分地の選定プロセス

処分地の選定プロセス

– 処分地の選定プロセス放射性廃棄物を将来にわたって安全に閉じ込めておくための最終処分施設。その建設地は、厳格な安全基準に基づき、慎重な調査と選定のプロセスを経て決定されます。このプロセスは大きく3つの段階に分かれています。-第一段階文献調査による絞り込み-まずはじめに、文献調査などを通じて全国規模で候補地の絞り込みを行います。この段階では、地質図や既存の研究データなどを活用し、活断層や火山などの自然災害リスク、地盤の安定性、地下水の流れなどを考慮します。過去の地震や地殻変動の記録も重要な検討材料となります。-第二段階ボーリング調査による詳細分析-第一段階で選定された候補地については、より詳細な調査を実施します。具体的には、実際にボーリング調査を行い、地下の地質や岩盤の強度、地下水の状態などを直接確認します。採取したサンプルは、専門機関で分析し、放射性物質の閉じ込め性能を評価します。これらの調査結果に基づき、候補地の絞り込みをさらに進めます。-第三段階地下施設における精密調査-最終段階では、残った候補地において、実際に地下に調査施設を建設します。そして、長期間にわたる地下水の観測や岩盤の力学的試験など、より詳細かつ精密な調査を行います。これらのデータを分析し、将来予測も含めて最終的な安全性を評価した上で、最終処分施設の建設地が決定されます。このように、最終処分施設の建設地選定は、多段階かつ長期的なプロセスを要します。これは、国民の安全と安心を最優先に考え、将来にわたって責任ある処分を行うために必要なプロセスと言えます。

段階 内容 詳細
第一段階
文献調査による絞り込み
全国規模で候補地を絞り込む – 地質図や既存の研究データなどを活用
– 活断層や火山などの自然災害リスク、地盤の安定性、地下水の流れなどを考慮
– 過去の地震や地殻変動の記録も重要な検討材料
第二段階
ボーリング調査による詳細分析
選定された候補地について詳細調査を実施 – ボーリング調査を行い、地下の地質や岩盤の強度、地下水の状態などを直接確認
– 採取したサンプルを専門機関で分析し、放射性物質の閉じ込め性能を評価
第三段階
地下施設における精密調査
残った候補地において地下に調査施設を建設 – 長期間にわたる地下水の観測や岩盤の力学的試験など、より詳細かつ精密な調査
– 将来予測も含めて最終的な安全性を評価

今後のスケジュール

今後のスケジュール

原子力発電から生じる高レベル放射性廃棄物の処分は、日本のエネルギー政策において極めて重要な課題です。この課題に取り組むため、使用済み燃料再処理機構(NUMO)は、2030年代後半に最終処分施設の建設地を決定することを目指しています。

最終処分施設の建設地決定は、決して容易な道のりではありません。NUMOは、科学的知見に基づいた調査や地域住民との対話を重ね、安全かつ透明性の高いプロセスを進める必要があります。

建設地決定後、2040年代後半には最終処分を開始する計画です。これは、高レベル放射性廃棄物を地下深くの安定した地層に隔離する、地層処分と呼ばれる方法です。地層処分は、放射性物質を長期にわたり人間社会から隔離し、将来世代に負担を残さないための重要な手段と考えられています。

NUMOは、国民の理解と協力を得ながら、最終処分の実現に向けて、着実に業務を進めていく予定です。

項目 内容
課題 原子力発電から生じる高レベル放射性廃棄物の処分
実施主体 使用済み燃料再処理機構(NUMO)
目標時期
  • 2030年代後半:最終処分施設の建設地決定
  • 2040年代後半:最終処分開始
処分方法 地層処分(放射性物質を地下深くの安定した地層に隔離)
重要なポイント
  • 科学的知見に基づいた調査
  • 地域住民との対話
  • 安全かつ透明性の高いプロセス
  • 国民の理解と協力