使用済燃料管理の選択肢:サイロ貯蔵とは

使用済燃料管理の選択肢:サイロ貯蔵とは

電力を見直したい

『サイロ貯蔵』って、どんなものですか?

電力の研究家

原子力発電で使った燃料を、再処理したり、燃料のまま貯蔵したりするまでの間、一時的に保管する方法の一つだよ。

電力を見直したい

へー、具体的にはどのように保管するのですか?

電力の研究家

使用済みの燃料をヘリウムで満たした容器に入れて、さらにその容器をコンクリート製のサイロに入れるんだ。サイロは屋外に並べて、燃料から出る熱は空気中に逃がすようにできているんだよ。

サイロ貯蔵とは。

原子力発電所で使い終わった燃料は、日本やヨーロッパの国々のように再処理をする場合と、アメリカやカナダのように燃料のまま保管する場合があります。どちらの場合でも、再処理や保管をするまでの間、燃料を一時的に保管しておく必要がありますが、その方法の一つに「サイロ貯蔵」があります。カナダでは、「キャンドゥ炉」という種類の原子炉で使った燃料を一時的に保管する方法として、サイロ貯蔵の実証試験が行われています。使い終わった燃料は、ヘリウムというガスを詰めた容器に入れられ、その容器はコンクリート製のサイロの中に保管されます。サイロは建物の外に地面に沿って並べられ、燃料が壊れる時に出る熱は、容器とサイロのコンクリートの壁を通して空気中に放出されます。

原子力発電と使用済燃料

原子力発電と使用済燃料

原子力発電は、ウランなどの物質が原子核分裂という反応を起こす際に生じる莫大なエネルギーを利用して、電気などのエネルギーを生み出しています。この原子核分裂は、ウランの原子核に中性子をぶつけることで起こり、この時に熱と光を発生します。この熱を利用して水を沸騰させ、蒸気によってタービンを回し、電気を作り出しているのです。

しかし、原子核分裂を起こした後の燃料には、元の燃料とは異なる性質を持つ「使用済燃料」が含まれるようになります。これは、例えるならば、燃えかすのようなものですが、まだ熱や放射線を発している状態です。 使用済燃料には、まだ核分裂を起こせる物質が含まれているため、適切に管理することが非常に重要です。具体的には、まず原子炉から取り出した使用済燃料を冷却し、その後、再処理工場で再利用可能な物質を回収します。そして、最終的には、地下深くに埋められるなどして、安全に保管されます。このように、原子力発電は、使用済燃料の処理・処分までを含めて、長いスパンで考えなければならないエネルギー源なのです。

項目 内容
原理 ウランなどの原子核分裂により発生する熱エネルギーを利用して発電
プロセス 1. ウラン原子核に中性子をぶつけて核分裂を起こす
2. 核分裂の熱で水を沸騰させる
3. 蒸気でタービンを回し発電
使用済燃料 核分裂後の燃料。放射線を帯びており、適切な管理が必要
使用済燃料の処理 1. 冷却
2. 再処理工場での再利用可能な物質の回収
3. 地下深部への埋設などによる安全な保管

使用済燃料の保管方法の選択肢

使用済燃料の保管方法の選択肢

原子力発電所から出る使用済燃料は、放射線レベルが高く、適切に管理する必要があります。この使用済燃料の管理方法は国によって異なり、大きく分けて「再処理」と「貯蔵」という二つの選択肢があります。

日本では、資源の有効活用と廃棄物の減容化の観点から、使用済燃料からウランやプルトニウムを取り出して再利用する「再処理」を選択しています。フランスやイギリスなど、欧州諸国でも同様に再処理が選択されることが多いです。再処理を行うことで、天然ウランの採掘量を減らし、廃棄物の量と放射能の強さを低減することができます。

一方、アメリカやカナダでは、使用済燃料を再処理せずにそのまま貯蔵する「直接処分」という方法が一般的です。貯蔵には、プールのような冷却設備で燃料を冷却した後、頑丈な容器に封入して保管する方法がとられています。直接処分は、再処理に比べてコストが低いという利点があります。

それぞれの国が置かれている状況やエネルギー政策によって、使用済燃料の管理方法は異なっています。

項目 再処理 直接処分
概要 使用済燃料からウランやプルトニウムを取り出して再利用 使用済燃料を再処理せずにそのまま貯蔵
メリット – 天然ウランの採掘量削減
– 廃棄物の量と放射能の強さを低減
– コストが低い
採用国 日本、フランス、イギリスなど アメリカ、カナダなど

サイロ貯蔵:中間貯蔵の一つの選択肢

サイロ貯蔵:中間貯蔵の一つの選択肢

原子力発電所で使われた後、燃料(使用済み燃料)は再処理するか最終処分場へ送るまで、安全に保管する必要があります。この一時的な保管を「中間貯蔵」と呼びますが、その方法の一つにサイロ貯蔵があります。

サイロ貯蔵は、コンクリート製の頑丈な円筒形の建物(サイロ)の中に、使用済み燃料を収納した容器を保管する方法です。サイロは、地震や竜巻などの自然災害や、航空機の墜落などの外部からの衝撃に耐えられるように設計されています。また、放射線を遮蔽する機能も備えています。

カナダでは、「CANDU炉」と呼ばれるタイプの原子炉で使用された使用済み燃料の中間貯蔵として、サイロ貯蔵の実証試験が進められています。CANDU炉は、天然ウランを燃料とし、重水を減速材や冷却材に用いる原子炉です。サイロ貯蔵は、CANDU炉から発生する使用済み燃料の特性に適した中間貯蔵方法として、有望視されています。

項目 内容
中間貯蔵の必要性 原子力発電所で使用された燃料(使用済み燃料)を再処理するか最終処分場へ送るまでの間、安全に保管するため。
サイロ貯蔵の特徴
  • コンクリート製の頑丈な円筒形の建物(サイロ)の中に、使用済み燃料を収納した容器を保管する方法。
  • 地震や竜巻などの自然災害や、航空機の墜落などの外部からの衝撃に耐えられる設計。
  • 放射線を遮蔽する機能を備えている。
適用例
  • カナダで、「CANDU炉」と呼ばれるタイプの原子炉で使用された使用済み燃料の中間貯蔵として、実証試験が進められている。
  • CANDU炉は、天然ウランを燃料とし、重水を減速材や冷却材に用いる原子炉。
  • サイロ貯蔵は、CANDU炉から発生する使用済み燃料の特性に適した中間貯蔵方法として、有望視されている。

サイロ貯蔵の仕組み

サイロ貯蔵の仕組み

原子力発電所で使われた後の燃料、いわゆる使用済み燃料は、強い放射線を出しています。このため、安全に保管するために、頑丈なサイロを使った貯蔵方法が取られています。

まず、使用済み燃料は、熱を伝えにくい性質を持つヘリウムガスを充填した、特別な金属製の容器(キャニスタ)に入れられます。ヘリウムガスは、燃料が出す熱を逃がすと同時に、放射線を遮る役割も果たします。さらに、キャニスタは、外部からの衝撃や腐食にも耐えられるよう、非常に頑丈に作られています。

こうして厳重に封じ込められたキャニスタは、今度は、分厚いコンクリートで作られた巨大な円筒形の建物、サイロの中に保管されます。サイロは、地震などの自然災害や、航空機の墜落といった外部からの衝撃にも耐えられるよう設計されています。また、サイロの内部は、燃料から発生する熱を効率的に逃がす構造になっており、燃料の熱は、キャニスタとサイロのコンクリート壁を通して、ゆっくりと大気中に放出されます。このように、サイロ貯蔵は、使用済み燃料を安全かつ確実に保管するための重要な役割を担っています。

項目 説明
使用済み燃料 強い放射線を出す
キャニスタ – 熱を伝えにくいヘリウムガスを充填
– 金属製で外部からの衝撃や腐食に強い
– ヘリウムガスと金属容器で放射線を遮断
サイロ – 分厚いコンクリート製の巨大な円筒形の建物
– 地震や航空機の墜落などの外部衝撃に耐える設計
– 内部構造により燃料の熱を効率的に放出

サイロ貯蔵のメリット

サイロ貯蔵のメリット

– サイロ貯蔵のメリットサイロ貯蔵は、使用済み核燃料を保管する方法の一つで、そのシンプルな構造に多くの利点があります。まず、建設や運用が比較的容易である点が挙げられます。サイロは円筒形の構造物であり、複雑な形状や機構を必要としないため、建設にかかる費用や期間を抑えることができます。また、運用においても特別な設備や技術は不要で、比較的少ない人員で管理することができます。次に、燃料の柔軟な移動や管理が可能である点も大きなメリットです。サイロ貯蔵では、使用済み核燃料を専用の容器(キャニスタ)に収納し、それをサイロ内に保管します。キャニスタは一つずつ独立しているため、必要に応じて個別に移動したり、点検したりすることが容易です。これは、燃料の種類や燃焼度に応じて保管方法を変える必要がある場合などに非常に役立ちます。さらに、サイロは地上に設置されるため、監視や保守点検が容易に行えます。地上であれば、定期的な点検やメンテナンスを容易に行うことができ、異常が発生した場合でも迅速に対応することができます。また、周囲の環境への影響を監視することも容易なため、安全性を高く保つことができます。このように、サイロ貯蔵はシンプルながらも多くの利点を備えた使用済み核燃料の保管方法と言えるでしょう。

メリット 説明
建設や運用が容易 シンプルな円筒形構造のため、建設費用や期間を抑えられ、運用も比較的少ない人員で可能。
燃料の柔軟な移動や管理が可能 キャニスタ単位での保管のため、個別に移動、点検などが容易。
監視や保守点検が容易 地上設置のため、定期的な点検やメンテナンス、異常発生時の対応が容易。