原子炉を守る最後の砦!直接炉心冷却システム

原子炉を守る最後の砦!直接炉心冷却システム

電力を見直したい

先生、「直接炉心冷却」って原子力発電の用語で出てきたんですけど、どんなものなんですか?

電力の研究家

「直接炉心冷却」はね、原子炉が停止した後も熱を持っている炉心を冷やすための重要な仕組みなんだよ。高速炉という種類の原子炉で使われているよ。

電力を見直したい

原子炉が停止した後も熱を持っているんですか? どうしてですか?

電力の研究家

そうなんだ。原子炉は停止しても、核燃料がまだ熱を持っているからなんだ。この熱を「崩壊熱」って言うんだけど、「直接炉心冷却」はこの「崩壊熱」を取り除いて、炉心が過熱するのを防ぐために必要なんだよ。

直接炉心冷却とは。

「直接炉心冷却」は、高速炉で使われる言葉で、原子炉を止めた後も発生する熱を冷ます仕組みのことです。普段は主な冷却システムで冷やしますが、万が一、システム全体のポンプが壊れてしまった場合に備え、炉心を直接冷やす方法が予備として用意されています(これを「直接炉心冷却システム」、略してDRACSと呼びます)。 この直接炉心を冷やす方法には、三つの種類があります。(1)原子炉容器を外側から直接冷やす方法、(2)容器の中に熱交換器を直接入れる方法、(3)容器から冷却材を取り出して、熱交換器で直接冷やす方法です。 直接炉心を冷やすDRACS以外にも、PRACS(中間熱交換器の一次側を冷やす方法)やIRACS(二次系の分岐冷却方法)などがあります。

高速炉の安全確保に不可欠な冷却システム

高速炉の安全確保に不可欠な冷却システム

原子力発電所では、運転を停止した後も核燃料から熱が発生し続けます。これは崩壊熱と呼ばれ、原子炉の安全確保において重要な要素です。高速炉においても、この崩壊熱を安全に除去するために、通常運転時には主冷却系統と呼ばれる冷却システムが稼働しています。これは、原子炉内で発生した熱を常に運び出し、発電などに利用すると同時に、炉心を冷却する役割を担っています。

しかし、地震などの自然災害や機器の故障といった不測の事態によって、この主冷却系統が機能しなくなる可能性も考えられます。このような万が一の事態においても、炉心を確実に冷却し、過熱による損傷を防ぐために、高速炉にはバックアップシステムが備わっています。それが、直接炉心冷却システム、DRACS(Direct Reactor Cooling System)と呼ばれるシステムです。DRACSは、主冷却系統が機能喪失した場合に自動的に作動し、自然循環などにより炉心へ冷却材を供給し続けることで、炉心の安全を確保する役割を担います。これは、原子炉の安全性を高める上で非常に重要なシステムです。

システム 説明 作動条件 役割
主冷却系統 原子炉内で発生した熱を常に運び出すシステム 通常運転時 発電、炉心の冷却
直接炉心冷却システム
(DRACS)
主冷却系統が機能喪失した場合に自動的に作動するバックアップシステム 地震などの自然災害や機器の故障時 自然循環などにより炉心へ冷却材を供給し続け、炉心の安全を確保

炉心を直接冷やす!3つの方法

炉心を直接冷やす!3つの方法

原子力発電の心臓部である炉心は、核分裂反応によって莫大な熱を生み出します。この熱を効率的に取り除き、炉心の温度を適切に保つことが、安全かつ安定的な運転には欠かせません。炉心の冷却には様々な方法がありますが、中でも「炉心を直接冷やす」DRACS(Direct Reactor Auxiliary Cooling System)と呼ばれるシステムが注目されています。
DRACSは、その名の通り、炉心を直接冷却するシステムであり、大きく分けて三つの方法があります。
一つ目は、原子炉容器そのものを外部から直接冷却する方法です。これは、原子炉容器の周囲に冷却水を循環させ、熱を奪い取ることで炉心を冷却します。二つ目は、原子炉容器内に熱交換器を直接挿入し、冷却する方法です。原子炉容器内に設置された熱交換器に冷却水を循環させることで、炉心で発生した熱を効率的に取り除きます。そして三つ目は、原子炉容器から冷却材を外部に取り出し、熱交換器で冷却した後に再び原子炉容器に戻す方法です。外部の熱交換器を用いることで、より効果的に冷却材の温度を下げることができます。
これらの方法は、それぞれ冷却効率やコスト、メンテナンス性などに違いがあります。原子炉の設計や運用方法に合わせて、最適な方法が選択されます。

DRACSの方法 説明
原子炉容器外部冷却 原子炉容器の周囲に冷却水を循環させ、熱を奪う。
熱交換器内蔵型 原子炉容器内に熱交換器を挿入し、冷却水を循環させる。
冷却材外部循環型 原子炉容器から冷却材を外部に取り出し、熱交換器で冷却後、原子炉容器に戻す。

多重防御!DRACS以外の冷却システム

多重防御!DRACS以外の冷却システム

原子力発電所では、炉心の安全確保は最優先事項です。想定外の事態が発生し、炉心で発生する熱が適切に除去できない場合、炉心損傷などの深刻な事故につながる可能性があります。これを防ぐため、原子炉には多重防御の考え方に基づき、複数の冷却システムが備わっています。

最も重要な冷却システムの一つに、DRACS(残留熱除去系)があります。これは、通常運転時や事故時など、様々な状況下で炉心を冷却し、安定状態を保つ役割を担います。しかし、DRACSだけに頼るのではなく、更なる安全性を確保するため、他の冷却システムも重要な役割を担っています。

例えば、PRACS(原子炉隔離時冷却系)は、DRACSが機能しない場合でも、中間熱交換器を介して炉心を冷却することができます。また、IRACS(格納容器再循環サンプリング系)は、炉心冷却に必要な水を格納容器から供給することで、炉心の冷却を維持します。

このように、原子力発電所ではDRACSに加えて、PRACSやIRACSなど、複数の冷却システムを組み合わせることで、多重的な安全対策を講じています。これらのシステムはそれぞれ異なる冷却方式を採用しており、一つのシステムが機能しなくても、他のシステムで炉心の安全を確保できるように設計されています。原子力発電所は、多層的な防御システムによって、人々と環境の安全を守っているのです。

冷却システム 役割 備考
DRACS
(残留熱除去系)
様々な状況下で炉心を冷却し、安定状態を保つ 最も重要な冷却システムの一つ
PRACS
(原子炉隔離時冷却系)
DRACSが機能しない場合でも、中間熱交換器を介して炉心を冷却する
IRACS
(格納容器再循環サンプリング系)
格納容器から水を供給することで炉心の冷却を維持する